「バックファイナンス」は、不動産業者が利用できる資金調達方法の一つです。メリットの多い資金調達方法ですが、デメリットやリスクもあるので注意しましょう。
この記事では、バックファイナンスの仕組みや利用の流れ、利用する際のメリット・デメリットを詳しく解説します。
資金調達の選択肢を広げたい不動産業者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
バックファイナンスとは
バックファイナンスとは、自己資金で不動産を購入し、その不動産を担保に金融機関などから追加で融資を受ける資金調達方法を指します。
通常の住宅ローンや事業用ローンでは、不動産購入前に融資の審査を受け、その資金をもとに物件を購入します。
バックファイナンスは先に自己資金で物件を購入し、その後に融資を受けるため、不動産購入時に融資を受ける住宅ローンとは逆の流れになる点が特徴です。
主に不動産事業者向けの融資方法で、不動産購入(仕入れ)のスピードを重視する場面や、短期間で資金の流動性を確保したい場合に利用されるケースが多いです。
例えば、競売物件や投資価値の高い不動産を迅速に取得したい際に、バックファイナンスが活躍します。
バックファイナンスが利用されるシーン
バックファイナンスは、不動産業者が抱える課題を解決し、事業の安定性や収益性を向上させるための手段として広く利用されています。
仕入れ資金
不動産業者にとって、仕入れ資金の確保は事業の継続と拡大に不可欠です。
仕入れ資金の調達にバックファイナンスを利用すると、以下のようなメリットがあります。
- 機会損失の防止
- キャッシュフローの安定化
まずは自己資金で不動産を購入し、その後にバックファイナンスを活用することで、タイミングを逃さず好物件を取得することができます。
バックファイナンスにより手元資金を確保できれば、従業員の給与や日常的な経費支払いに対応でき、経営リスクを低減できるでしょう。
リフォーム資金
バックファイナンスは、リフォーム資金の確保にも有効です。
不動産を購入した際、その物件を高値で転売または賃貸するには、リフォームやリノベーションが必要になることが多いです。
例えば、老朽化したキッチンやバスルームを最新設備に交換することで、物件の付加価値を高めるケースが挙げられます。
大規模なリノベーションを実施する際にリフォーム資金が不足すると、事業計画に支障をきたす可能性があるでしょう。
バックファイナンスを活用することで、以下のような効果が期待できます。
- 計画的な施工
- 収益化の加速
十分な資金を確保することで、必要な設備投資や内装工事をスムーズに進められます。
賃貸や売却を早期に実現することで、キャッシュフローの改善につながるでしょう。
突発的・一時的な資金需要
不動産業において、突発的な出費が発生することは避けられません。
例えば、以下のようなシーンでバックファイナンスが役立ちます。
- 災害対応
- 納税資金の確保
自然災害や事故による損壊が発生した場合、修繕費用が必要になります。
バックファイナンスを利用し、自己資金で早期の修繕を行うことで、入居者への影響を最小限に抑えることができるでしょう。
また、税金の支払いにバックファイナンスを利用することで、期限内に納付でき、継続的な事業運営が可能となります。
バックファイナンスのメリット
バックファイナンスのメリットは、不動産を購入した後でも、手元のキャッシュを十分に確保できる点にあります。
資金の流動性が保たれるため、購入後に発生するリフォーム費用や設備投資、運転資金として活用することが可能です。
また、急な修繕費用や突発的な出費が必要になった際にも、手元資金を減らさずに対応できるため、不測の事態にも備えやすくなるでしょう。
さらに、バックファイナンスは、物件購入のスピードを重視する不動産業者におすすめです。
通常の融資では審査に時間がかかり、その間に目当ての物件が他の購入希望者に取られてしまう可能性があります。
バックファイナンスを利用すれば、自己資金で先に物件を購入し、その後に融資を受けるため、購入のタイミングを逃す心配がありません。
迅速な購入判断が可能になることで、優良物件を手に入れるチャンスを大幅に高めることができます。
バックファイナンスを利用すれば、購入した物件を担保に新たな資金調達も可能となるため、不動産業者にとって事業拡大の強力な武器となるでしょう。
バックファイナンスのメリット |
物件の仕入れタイミングを逃さずに資金調達ができる不動産購入後のリフォーム資金や設備投資に活用できる |
バックファイナンスの注意点
バックファイナンスを利用する際には、いくつかのリスクを事前に把握しておく必要があります。
まず、不動産を自己資金で購入した後に金融機関の審査を通過できなかった場合、融資を受けられないリスクがあります。
特に、リフォームやリノベーションを前提に投資用物件を購入した場合、融資が下りずに工事資金が確保できなければ物件価値の向上が見込めなくなり、収益計画の遅延や予想していた売上の確保が困難になるリスクを伴います。
さらに、金融機関の融資が受けられなかった場合、手元資金が減った状態で他の資金調達方法を模索しなければならず、経営に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
また、すべての金融機関がバックファイナンスに対応しているわけではありません。
申し込みを検討している金融機関がバックファイナンスに対応していることをよく確認する必要があります。
融資金額や返済計画を慎重に検討し、無理のない資金計画を立てることが重要です。
バックファイナンスのデメリット |
融資が受けられない場合、経営計画に影響を及ぼすバックファイナンスに対応していない金融機関もある |
バックファイナンスの相談ができる金融機関
バックファイナンスの相談先としては、主に銀行とノンバンク(銀行以外の金融機関)が挙げられます。
しかし、銀行では不動産業者向けのバックファイナンスを取り扱わない場合が多いです。
銀行の融資方針は「資金が不足している人や事業の成長を支援する」ことを目的としているため、自己資金で不動産を購入できる人に対しては「融資の必要がない」と判断されてしまうのです。
また、仮にバックファイナンスが認められたとしても、銀行での融資を受けるためには、財務状況や取引実績をもとに行われる厳格な審査を通過しなければなりません。創業して間もない企業や、キャッシュフローが不安定な企業では、銀行の審査に通過するのは容易ではないでしょう。
一方、ノンバンクは審査基準が比較的緩やかで、担保価値や事業の可能性を重視するため、柔軟な条件で利用しやすいのが特徴です。審査や融資実行が迅速で、急な資金需要にも対応しやすいため、不動産業者にとっては現実的で便利な選択肢となっています。
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バックファイナンス利用の流れ
バックファイナンスを利用する流れは、以下の通りです。
- 物件の購入
- 金融機関への相談・申し込み
- 審査
- 契約手続き
- 融資実行
まずは自己資金を用いて不動産を購入します。
購入する物件が担保として適切かどうかは後の審査に影響するため、不動産の市場価値や将来的な収益性を十分に確認しておくことが重要です。
購入後、不動産を担保に融資を受けるために、金融機関やノンバンクに相談します。利用目的や希望する融資額、返済計画を具体的に説明する準備をしておきましょう。
申し込みをした後は、金融機関による審査が行われます。審査では、物件の担保評価、借り入れ希望者の財務状況、過去の取引履歴などがチェックされるケースが多いです。
審査を通過したら、金融機関との間で融資契約を結びます。金利や返済条件、手数料などの詳細を十分に確認してください。
契約完了後、融資が実行されます。
バックファイナンスを利用する際は、計画性を持って進めることが成功の鍵となります。
事前に複数の金融機関の条件を比較しながら検討しましょう。
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バックファイナンスの利用事例
事例1:中古マンションのリノベーション費用 |
中古マンションの仕入れをしている不動産会社Aは、この度仕入れたマンションのリノベーション費用が必要でした。仕入れたマンションを担保として、バックファイナンスにて融資を実行し、無事リノベーション費用を調達することができました。 |
事例2:競売物件のリフォーム費用 |
不動産会社B社は、競売物件を落札し転売したい意向でした。転売にあたってのリフォーム費用が必要となり、バックファイナンスにて融資をさせていただきました。 |
バックファイナンスは不動産担保ローン専門のノンバンクに相談しよう
バックファイナンスは、銀行では取り扱っていないケースが多いため、不動産担保ローンを専門に取り扱うノンバンクに相談するのがおすすめです。
大手町フィナンシャルの総合不動産担保ローンでは、不動産業者の仕入れ資金やリフォーム資金を目的としたバックファイナンスにも柔軟に対応しております。
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バックファイナンスをお考えの場合は、ぜひ大手町フィナンシャルにご相談ください。
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