不動産売却時に便利な「つなぎ融資(ローン)」とは、不動産の売却が完了するまでの間、必要な資金を一時的に借入れるローンのことです。借入れた資金は、住み替えや引越し費用などとして活用し、売却代金が入金された後に返済します。
また、不動産業者が新たな物件を仕入れる際の仕入れ資金として活用される場合もあります。
この記事では、つなぎ融資の基本的な仕組みや特徴、メリット・デメリットについて詳しく紹介します。
目次
つなぎ融資(ローン)とは
つなぎ融資(ローン)とは、ある目的の資金を確保できるまでの間、一時的に資金を融通するための借入手段を指します。
短期的な資金の確保に特化した融資であり、借入期間は1年未満と非常に短いのが特徴です。
不動産に関連するつなぎ融資の場合、物件の売却が完了する前や、住宅ローンが実行される前に、必要な資金をカバーする手段として利用されるのが一般的です。
売却予定の不動産や、所有する不動産を担保に借入を行う仕組みで、不動産業者をはじめとした法人の資金調達に活用されることもあります。
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つなぎ融資(ローン)が利用されるケース
つなぎ融資(ローン)は、主に個人の不動産売買や不動産業者の仕入れにおいて、資金不足を解消するために利用されます。
つなぎ融資が利用される代表的なケースは、以下の通りです。
- 不動産売却時の住み替え(買い替え)資金が必要な場合
- 住宅ローン実行前の建築資金が必要な場合
- 【法人向け】不動産業者の仕入れ資金が必要な場合
それぞれ解説します。
不動産売却時の住み替え(買い替え)資金が必要な場合
まず1つ目が、今住んでいる家を売却して、新しい住まいへと住み替え(買い替え)をするケースです。
住み替えには、
- 買い先行・・・新しい住宅を購入した後に、今住んでいる住宅を売却する方法
- 売り先行・・・今住んでいる住宅を先に売却し、その後に新しい住宅を購入する方法
の2種類があり、どちらの場合もつなぎ融資(ローン)が必要となる場合があります。
買い先行では、今住んでいる住宅の売却が完了すると”手に入るであろう売却代金”を当て込み、先んじて新しい住宅を購入するため、実際にはまだ手元にない売却代金=新しい住宅の購入費用を、一時的に補填する形でつなぎ融資を利用するのが一般的です。
売り先行では、不動産の売却代金を受け取るよりも先に、新しい住宅を購入するための頭金や諸費用が必要となることがあります。
このような場合、売却予定の不動産を担保につなぎ融資を受けることで、売却が完了する前に新居の購入資金を確保し、スムーズに住み替えを行うことができます。
借入れた資金は、不動産の売却代金で一括返済するのが基本の流れです。
住宅ローンの融資実行前に建築資金が必要な場合
不動産の売却予定がなくても、つなぎ融資(ローン)の活用が有効なケースがあります。
例えば住宅を新築する場合、注文住宅の建築には、土地の購入代金や着工金、上棟金など、住宅ローンの融資が実行される前に支払わなければならない費用が発生します。
しかし、住宅ローンの融資は、建物が完成するタイミングで実行されるのが一般的であるため、その前に必要な資金をどう確保するかが課題となるでしょう。
つなぎ融資を活用すれば、住宅ローンの融資が実行される前に必要な資金を一時的に調達できるため、建築工事をスムーズに進めることができます。
多くの金融機関では、住宅ローンとセットでつなぎ融資に申し込むことが可能です。
【法人向け】不動産の仕入れ資金が必要な場合
つなぎ融資(ローン)は、不動産業者をはじめとした法人の事業資金調達にも活用されてます。
不動産業者にとって、物件の仕入れや土地の購入など、事業運営に必要な資金の調達は必要不可欠です。
しかし、物件の売却タイミングやプロジェクトの進行状況によっては、資金の流れが途絶えることもあります。
このようなケースでは、つなぎ融資で不動産の仕入れ資金を確保することで、事業活動を円滑に進めることが可能です。
必要なタイミングですぐに借入ができるため、不動産業者にとって重要な資金調達の手段となっています。
つなぎ融資(ローン)の主な特徴
つなぎ融資(ローン)には、他のローン商品とは異なる以下のような特徴があります。
- 返済期間は1年以内の短期が基本
- 不動産売却までの返済は利息のみでOK
- 不動産売却時に一括返済すれば良い
ここでは、つなぎ融資の返済期間や利息の支払い方法、返済方法の特徴について詳しく見ていきましょう。
返済期間は1年以内の短期が基本
つなぎ融資は、不動産の売却や新たな資金調達が完了するまでの一時的な資金ニーズに対応するローンです。
返済期間は短めに設定され、最短で1か月、最長で1年以内というケースが一般的です。
不動産売却時に一括返済すれば良い
不動産売却までのつなぎ融資は、通常のローンとは異なり、月々の返済は利息のみとなります。
物件の売却が完了し、代金を受け取るまでの間の経済的負担を軽減できるため、資金計画が立てやすくなるでしょう。
不動産売却時に一括返済
つなぎ融資は、不動産の売却が完了したタイミングで元金を一括返済します。
売却代金で返済するため、売却が予定通りに進めば資金繰りもスムーズです。
ただし、売却が遅れると返済期限が迫るため、売却活動のスケジュール管理をしっかりと行いましょう。
不動産売却時につなぎ融資(ローン)を利用するメリット
つなぎ融資の利用には、不動産売却を検討している個人や不動産業者をはじめとした法人にとって、以下のようなメリットがあります。
- 住み替えがスムーズになる
- 不動産の「売却期間」を確保できる
- 資金使途は自由
- 【法人向け】資金繰りが円滑化する
- 【法人向け】チャンスを逃さず仕入れができる
それぞれ解説します。
住み替えがスムーズになる
つなぎ融資を利用すれば、不動産売却前に新居の購入代金や初期費用を確保できます。
タイミングを逃さずに気に入った物件を購入できるため、住み替えを計画的に進めることができるのが大きなメリットです。
不動産の「売却期間」を確保できる
つなぎ融資を利用することで、売却を急ぐ必要がなくなります。余裕を持った売却期間を設けられるため、価格を無理に下げることなく、適切なタイミングで売却することが可能です。
また、先に新居への引越しを済ませることで、空室状態で売却活動を進めることができるため、購入希望者に好印象を与えやすくなるでしょう。
資金使途は自由
不動産売却時のつなぎ融資は、資金使途が限定されていないケースが多く、新居の購入代金だけでなく、引越し費用や家具・家電の購入費、生活資金に充てることも可能です。
幅広い用途に活用できるのも、つなぎ融資のメリットの一つです。
【法人向け】資金繰りが円滑化する
つなぎ融資は、不動産業を営む法人に活用されるケースがあります。
例えば、不動産開発や建設プロジェクトは長期間にわたることが多く、その間の資金繰りは多くの不動産業者の課題となっています。
不動産業者向けのつなぎ融資なら、プロジェクト完了までの流動資金を確保することが可能です。
資金不足によるプロジェクトの遅延や中断を防ぎ、事業を滞りなく進めることができるでしょう。
【法人向け】チャンスを逃さず仕入れができる
不動産業者にとって、不動産の仕入れは業績を左右する重要な業務の一つです。
魅力的な物件が出れば、チャンスを逃すことなく、その不動産を仕入れる必要があります。仕入れ資金の準備が間に合わず、他社に先を越されてしまうようなことがあれば、大きな損失になってしまいます。
つなぎ融資を活用することで、資金の確保がスムーズにでき、好条件の物件をタイミング良く購入できるようになります。
不動産の仕入れ資金につなぎ融資をご検討されている不動産業者様は、こちらのページもあわせてご覧ください▼
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不動産売却時につなぎ融資(ローン)を利用するデメリット
つなぎ融資(ローン)には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。
つなぎ融資を利用する際は、以下のようなリスクや制約についても理解しておきましょう。
- 住宅ローンよりも金利は高い
- 長期借入はできない
- 手数料がかかる
- 【法人向け】不動産価格が下落する可能性がある
それぞれ解説します。
住宅ローンよりも金利は高い
つなぎ融資は借入期間が短いため、住宅ローンよりも金利が高めに設定されています。
住宅ローンの金利は1%を下回ることもありますが、つなぎ融資の金利は3〜8%程度のケースが多いでしょう。
ただし、担保となる不動産があるぶん、カードローンなどの無担保ローンと比較すると金利は低いです。
つなぎ融資は短期間での資金調達を目的としたローンのため、金利負担をしっかりと考慮し、計画的に利用することが重要です。
長期借入はできない
つなぎ融資は、短期的な資金需要に対応したローンなので、長期的な借入には向いていません。
返済期限は短めに設定されており、売却が遅れたり資金が確保できない場合には、遅延損害金が発生するリスクもあります。
長期的な資金の借入が必要な場合は、新居を担保にした不動産担保ローンなど、他の融資手段も検討しましょう。
大手町フィナンシャルの不動産担保ローンなら、5年・10年といった長期借入にも対応できます。
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手数料がかかる
つなぎ融資を利用する際には、事務手数料や印紙代などが発生するため、融資額全額が手元に残るわけではありません。
手数料の金額は金融機関や契約内容によって異なるため、事前に確認したうえで、資金計画を立てることが大切です。
【法人向け】不動産価格が下落する可能性がある
不動産業者が大規模な建設プロジェクトを手掛ける場合、プロジェクトが計画通りに進まず遅延してしまうと、その間に不動産市場に変動が起こる場合があります。
不動産の価値が想定以上に下落してしまうと、収益見込みが減少し、返済が困難になる可能性もゼロではありません。
不動産業者がつなぎ融資を利用する際は、あらかじめリスクを考慮したうえで、余裕を持った返済計画を立てることが重要です。
つなぎ融資(ローン)を利用する流れ
総合不動産担保ローンを提供する大手町フィナンシャルでは、不動産売却時の住み替え資金、住宅ローン実行前の建築資金、不動産業者の仕入れ資金など、さまざまな用途でつなぎ融資(ローン)をご利用いただけます。
実際につなぎ融資をご利用いただく手順は、以下の通りです。
- ご相談・お申し込み
- 担保不動産の調査
- 審査結果の連絡
- 契約手続き
- ご融資実行
大手町フィナンシャルなら、24時間以内の審査完了、最短翌日のご融資が可能です。つなぎ融資をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
大手町フィナンシャルの不動産担保ローンは、つなぎ融資としても利用可能!
つなぎ融資(ローン)は、不動産の売却時や新築住宅の建築時など、短期的な資金需要に役立つ仕組みです。
また、不動産業者の仕入れ資金や運転資金など、法人の調達方法としても広く活用されています。
ただしつなぎ融資には、返済期間が短く、金利が高めに設定されるなどのデメリットもあるため、どの金融機関で契約するかは慎重に検討されることをおすすめします。
大手町フィナンシャルでは、短期間のつなぎ融資はもちろん、返済期間を長期化した「総合不動産担保ローン」など、お客様のニーズに合わせた融資プランを柔軟にご提案させていただきます。
また、他社では断られることが多い借地権や底地(貸宅地)、共有持分・共有名義など、権利関係が複雑な不動産にも積極的に対応しております。
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