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底地権とは
底地(貸宅地)とは、所有する土地に建物の所有や使用を目的とする借地権が設定されている土地のことを「底地」または「底地権」といいます。
底地を所有している人を「地主」「借地権設定者」「底地権者」といい、この土地を借りて建物を建てて使用する人を「借地人」「借地権者」といいます。
※借地権については「借地権とは?基礎知識をわかりやすく解説」をご覧ください。
底地権の特徴
底地権は、自分の土地を第三者に賃貸することで発生する権利です。
地代を借地人からもらう権利や、借地人の承諾なく自由に土地を売却する権利はもっていますが、土地を使用する権利はもっていません。土地の利用権は借地人がもっているからです。
地主から見て、一度借地人に貸した土地(借地)は、正当な事由がない限り取り戻すことは困難です。正当事由の判断は基本的にはまず「借地人が土地の使用を必要とする事情」と、「地主が土地の使用を必要とする事情」を比較して、相対的に必要性が高いのはどちらかを判断するという方法によります。
底地権のメリット
底地を所有するメリットは、主に以下の3つです。
- 永続的に地代(家賃)収入が得られる
- 建物の清掃や修繕など管理が不要
- 更地のまま所有するよりも固定資産税が抑えられる
永続的に地代(家賃)収入が得られる
底地を所有する一番のメリットは、土地を第三者に貸すことで安定した収入(地代)を得ることができるという点です。
「地代」のほかにも借地人との契約を更新する際は「更新料」、借地人が建物(借地権)を第三者に売却する場合や、建物を建て替える際に必要な「承諾料」など様々な収益を得ることができます。
建物の清掃や修繕など管理が不要
建物の清掃や修繕などは、建物の所有者である借地人が負うものになります。底地はあくまで「土地」だけを貸すので、管理する手間もコストもかからないのもメリットの1つです。
更地のまま所有するよりも固定資産税が抑えられる
更地のままで土地を所有するより、借地人に土地を貸すことにより、住宅用地の軽減措置が適用され、固定資産税を抑えることができます。 軽減措置は下記の通りになります。
- 小規模住宅用地(※200㎡以下):固定資産税評価額×1/6
- 一般模住宅用地(※200㎡超):固定資産税評価額×1/3
例)固定資産税評価額が3,000万円の小規模住宅用地の場合
3,000万円×1.4%(標準税率)=420,000円(固定資産税)
固定資産税から軽減措置適用され1/6=70,000円となります。
底地権のデメリット
底地を所有するデメリットは、主に以下の4つです。
- 土地を自由に使用できない
- 所有権と比べて土地としての価値が低い
- 収益よりも相続税の負担額が大きくなりやすい
- 借地人とトラブルになりやすい
土地を自由に使用できない
底地は土地を借地人に貸しているので、自由に使用することはできません。
「貸している土地を使用したいから借地人に出てもらおう」と思っていても、借地借家法(平成4年8月1日以前は旧借地法)によって守られている借地人に、明け渡しを求めることは容易ではありません。
“土地は一度貸したら戻らない”と揶揄されるほど、半永久的に土地は地主には戻らないので、土地を自由に使用することは難しいでしょう。
所有権と比べて土地としての価値が低い
底地は、土地を使用するにも借地人の権利保護が強く、土地を自由に活用できないことから、所有権と比較して土地としての価値が低くなってしまいます。
また、土地の活用に制限があることから、底地を売却するにも買い手が見つかりにくいのが現状です。
同じ理由で、底地を担保にお金を借りる場合も、金融機関の審査は厳しくなります。
収益よりも相続税の負担額が大きくなりやすい
底地は相続財産になるため相続が発生し、所有する場合には相続税を納める必要があります。完全所有の土地に比べれば、相続税評価額は低くなりますが、収益性の低い底地に対して相続税の負担は大きく、「物納」による相続税の納付も必ずしも認められるわけではございません。
借地人とトラブルになりやすい
土地を貸している借地人との間で、地代や更新料など契約に関するトラブルに発展する事は珍しくありません。
また、地主と借地人との賃貸借契約は親や祖父の代から継続していることが多く、契約書自体を紛失しているケースもあります。賃貸借契約の内容が明確になっていないと、後々トラブルに発展する恐れがあるので、契約内容はしっかり把握することが大切です。
底地の売却方法
このように、底地を保有することはデメリットの方が多いため、売却や処分を検討する地主もいらっしゃるでしょう。
底地の売却方法は、主に以下の3つです。
- 底地を借地人に売却する
- 借地人と協力して借地権と一緒に売却する
- 底地を第三者に売却する
3つの方法について、例を挙げて解説します。
底地を借地人に売却する
底地を借地人に売却することで、借地人は、土地と建物両方が自分のもの(所有権)になります。
この売却方法は、借地人にとって大きなメリットになるため、借地人に一定の資金力があれば、売却価格交渉により、高い価格で底地を売却できる可能性が高いです。
借地人と協力して借地権と一緒に売却する
借地権の更新や相続のタイミングで、借地人が借地権を売却することを考えているのであれば、底地と借地権を一緒に売り出すことが可能になります。
底地と借地権を別々に売却するよりも完全所有の一体化した不動産として売り出せるので、買い手が見つかりやすく、高い価格で売却することができます。
この場合、売却代金は借地権と底地の評価額の割合で分けることが一般的です。
底地を第三者に売却する
一番簡単な方法ですが、底地は市場流通性が低く、自由に土地を利用できないという性質上、売却価格は通常の土地価格より大幅に下がる傾向があります。
そのため、底地を第三者に売却する場合は、底地に精通した不動産会社に相談するのが良いでしょう。
なお、底地のみの売却に借地人の承諾は必要ありません。
底地権のまとめ
ここまで説明したように、底地は収益性こそ低いものの安定した収入を得ることができ、管理する手間やコストがかからない等、多くのメリットもある一方、土地を貸すと、半永久的に土地を返却してもらえない上に様々な問題が発生します。
大手町フィナンシャルでは、底地の管理や処分に詳しいスタッフが常駐しています。底地の売却を検討されている方や底地を担保にお金を借りたい方は、ぜひご相談ください。