総合不動産担保ローンのご相談は大手町フィナンシャル
               

0120-357-215

年中無休 9:00~19:00

借地権と土地の抵当権は「対抗関係」!どちらの登記が優先される?

main_借地権と土地の抵当権は「対抗関係」!どちらの登記が優先される?

借地人が土地を借りて建物を建てるための権利「借地権」と、主に金融機関が土地などの不動産を債務の担保にするための権利「抵当権」。
どちらも不動産に関する権利ですが、両者が同時に存在する場合、どちらが優先されるのでしょうか?

本記事では、対抗関係にある借地権と土地に対する抵当権がそれぞれ優先されるケースについて解説します。

借地権と抵当権の関係性について理解を深められる内容となっておりますので、借地権付き建物を所有されている方や、これから所有する可能性のある方は、地主とのトラブルを未然に防ぐためにもぜひご一読ください。

借地権と土地の抵当権は対抗関係にある

「借地権」は、借地人が地主から土地を借りて、建物を建てるための権利です。

一方「抵当権」は、債務者が相続税や不動産担保ローンなどの支払いを滞らせている場合に、担保となっている土地などの不動産を競売にかけて債権の回収を図ることができる、抵当権者の権利です。

借地権と抵当権はどちらも不動産に関する権利ですが、それぞれの効力が衝突し、「どちらか一方の権利が優先されると、もう一方の権利を持つ者が困る」というような状況に陥ることがあります。

このような、権利間の綱引きやシーソーのような関係性のことを「対抗関係」と呼びます。

借地権と土地に対する抵当権の対抗関係の例

借地権と土地に対する抵当権の対抗関係の例を1つご紹介します。

借地権と土地に対する抵当権の対抗関係の例

底地をローンの担保にする地主Aの意向で、銀行が抵当権をすでに設定した底地があるとします。
この抵当権設定登記済みの土地の上に借地人Bが家を建て、登記(表題登記)しました。

この時、借地人Bと銀行の権利は以下の通りです。

借地人Bの権利(借地権):借りた土地に家を建てたり、庭を作ったりすることができる。
銀行の権利(抵当権):地主がローンを返済できなくなった場合に、底地を売って借金を回収することができる。

さて、もしも地主が借金を返せなくなってしまった場合、銀行には底地を売却して債権を回収する権利があります。
しかし、同時にその土地はBが借りている土地(借地)でもあり、家を建てたり、庭を作ったりする権利があるわけです。

このように、借地権と土地に対する抵当権は対抗関係にあります。

底地の抵当権が実行されてしまった場合、借地上に建物を建てて暮らしている借地人は、立ち退かなければならないのでしょうか?

次章からは、借地権と土地に対する抵当権のどちらを優先させるか、その決め方について解説していきます。

借地権と土地に対する抵当権、どちらの登記が優先されるかは「対抗要件」によって異なる

借地権と土地に対する抵当権が対抗関係にあることはお伝えした通りですが、どちらが優先されるかは「対抗要件」によります。

対抗要件とは

対抗要件※とは、自分の権利を第三者に対して主張し、その権利を認めさせるために必要な要件のことです。
つまり、自分の権利が正しいことを証明し、自分の権利を保護するための要件と言えます。

そして、不動産における対抗要件とは、建物や抵当権の「登記」のことです。

民法第百七十七条では、

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
引用元:民法第百七十七条

と定められており、不動産の権利を主張して第三者に対抗するためには、原則として登記が必要なことが分かります。


抵当権が第三者への対抗要件を備えるためには「抵当権設定登記」、借地権が第三者への対抗要件を備えるためには「表題登記(建物登記)」が必要となります。

ここで注意しなければならないのが、不動産に抵当権を設定すること=登記なので、抵当権を設定された不動産は自然と対抗要件を備えるのに対して、借地権の場合は異なる点です。

どういうことかと言うと、借地人が借地上に建物を建てたり、借地権付き建物に住んでいたとしても、それだけで自然と借地権に対抗要件が備わるわけではないということです。
つまり、借地権に対抗要件を付与するためには、借地人が建物の表題登記(建物登記)の手続きを必ず行う必要があるということです。

未登記建物の状態のままだと第三者に対する対抗要件がないため、もしも土地に対する抵当権が実行されれば、借地権が消滅します。その結果借地人は、土地を更地にしたうえで地主に明け渡さざるを得なくなります。


※対抗要件は、「第三者対抗要件」と呼ばれることがある。この場合の第三者とは、当事者以外の人物という一般的な意味とは異なり、借地権や抵当権などの設定を受けた者、差押債権者、同一の不動産を二重に譲渡された者を指す。

借地権と土地に対する抵当権の優先・劣後は、登記の“先”か“後”で決まる

借地権と土地に対する抵当権のどちらが優先されるかは、基本的に対抗要件を備えた順番で決まります。
つまり、原則として早く登記された権利が優先されます。

次の章からは、土地に対する抵当権と借地権がそれぞれ優先されるケースについて解説します。

土地に対する抵当権の登記が優先されるケース

借地権と土地に対する抵当権が対抗関係にある時、地主の権利である「抵当権」が優先される以下のケースについて解説します。

  • 土地への抵当権設定登記が、建物の表題登記(建物登記)よりも先に行われていた場合

【借地人のリスク大!追い出される!?】土地への抵当権設定登記が、建物の表題登記(建物登記)よりも先に行われていた場合

抵当権がすでに土地に設定されている状態で借地契約※1を結び、建物が登記(表題登記)された場合、原則として抵当権が優先されます。

これは、借地人が、土地に設定された抵当権の存在を承知済みで借地契約を結んだと見なされるためです。

この場合、土地に対する抵当権が実行されると借地権は消滅するため、借地人は、土地を更地にしたうえで明け渡さなければなりません。

仮に、地主の債務不履行によって金融機関が抵当権を実行したとすると、担保となっている借地上の建物で暮らす借地人もトラブルに巻き込まれ、建物を取り壊した後に出ていく必要があります。これには、借地人に落ち度があるかどうかは無関係です。

以上のことから、抵当権がすでに設定されている土地に借地契約を結ぶことは、借地人にとってリスクが非常に大きいと言えます。


※1 借地契約とは、建物を建てる目的で土地を借りる契約の総称。地上権設定契約または土地賃貸借契約のいずれかを指す。
ちなみに土地賃貸借契約は、地主が他人に土地を貸し出す契約のこと。
地上権設定契約は、地主が他人に対して、自分の土地の上に建物や工作物を建てて利用することを許可する契約のこと。
よって、本記事のように一般の住宅などを題材にした解説における”借地契約”は、土地賃借契約のことを想定している場合が多い。

借地権が優先されるケース

借地権と土地に対する抵当権が対抗関係にある時、借地人の権利である「借地権」が優先される以下のケースについて解説します。

  • 建物の表題登記(建物登記)が、土地への抵当権設定登記よりも先に行われていた場合
  • 抵当権者の「同意の登記」がある場合

【借地人は住み続けられる】建物の表題登記(建物登記)が、土地への抵当権設定登記よりも先に行われていた場合

借地人が地主と借地契約を結び、借地上に建物を建てて登記(表題登記)した後、地主が”土地”に抵当権を設定した場合、原則として借地権が優先されます。

ここで言う”土地”とは、更地の状態の土地ではなく、「借地権の付着した土地」のことです。
そのため、たとえ底地の抵当権が実行されたとしても、借地人は土地に付随する自分の借地権を主張することが可能であり、土地を明け渡す必要はないのです。

【借地人の権利を守ってくれる】抵当権者の「同意の登記」がある場合

借地人にとって、抵当権がすでに設定されている土地に借地契約を結ぶリスクが大きいことは前述の通りです※1。

そこで、借地人の不利益の大きさを緩和する目的で、2004年に以下の条件が追加されました。

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
引用元:民法第三百八十七条

この条件は「同意の登記」と呼ばれ、抵当権者全員の同意を得ることで、「土地に設定済みの抵当権に、賃借権が対抗できる」という登記を可能にするもの※2です。


同意の登記を行うためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 土地に賃借権が登記されている
  2. 抵当権者全員の同意があり、それが登記されている


注意しなければいけないのは、抵当権者全員の同意を得たうえで、「同意の登記」も必要になる点です。
また、「同意の登記」は抵当権者にとってメリットが薄いため、ほとんど該当するケースがないのが現状です。


※1 地主にとっては、抵当権がすでに設定されている土地への借り手の付きにくさから、価格を大幅に下げざるを得ない場合がある。

※2 「抵当権者の同意により賃借権に対抗力を与える制度」と呼ばれることがある。

借地権に抵当権の登記を設定することは可能か?

結論から言うと、借地権そのものに直接抵当権を設定することはできません。

これは、借地権が、土地や建物といった不動産のように独立して取引の対象となる財産ではなく、あくまでも土地を使用する権利という性格を持つためです。

しかし、ここまで解説しました通り、借地上の「建物」に抵当権を設定することは可能です。
借地上の建物は不動産であり、抵当権の設定対象となるからです。

この場合、建物に設定された抵当権は、その建物と一体となった借地権にも間接的に影響を及ぼすことになります。
つまり、借地上の建物が競売にかけられる場合、借地権も一緒に売却されるため、実質的には借地権に抵当権が設定されている状態と捉えることができます。


借地権を担保にお金を借りる方法につきましては、以下の記事でわかりやすく解説しておりますのであわせてご参照ください▼

地主が「抵当権抹消登記」を行うまでは、抵当権は消えない

底地に設定された抵当権は、債権を完済したとしても自動的には消えません。
そのため地主は、底地を抵当に入れる理由となっていた債権を完済した後に、「抵当権抹消登記」を行う必要があります。

抵当権が設定されたままの底地は、借地人にとって、

  • 地主が借金を返済できなくなった場合、その土地が競売にかけられる可能性がある
  • 競売が行われた場合、借地権は原則として消滅し、土地を明け渡さなければならなくなる
  • いつ競売が行われるか、土地を明け渡さなければならないのか、といった将来に対する不確実性が高い


といったリスクがあり、借り手が付きにくいと言われています。

地主としては、底地の抵当権を抹消することでこれらのリスクが解消されるため、借り手を募集しやすくなります。

借地権・底地を担保にしたご融資も可能!不動産担保ローンなら大手町フィナンシャルにご相談ください

大手町フィナンシャルでは、通常の所有権の不動産はもちろん、借地権・底地、共有持分・共有名義といった、権利関係が複雑な不動産を担保にご融資した実績も豊富にございます。

あらゆる種類の不動産に精通したスタッフが多数在籍し、独自の審査基準で、お客様への融資を最大限にサポートいたしますのでご安心ください。

もちろん、地主との交渉や法的な手続きなどの、専門的な知識と経験が必要な工程もお任せください!

さらに、審査結果のご連絡は原則24時間以内と、迅速な対応を心がけておりますので、お急ぎの方にもご利用いただけます。

WEBやお電話でお申込みいただけますので、まずはお気軽にご相談をお待ちしております。

不動産担保ローンなら
大手町フィナンシャル
ご相談ください。

他社で断られた方も
まずはお問い合わせください。

  • ◎全国対応
  • ◎翌日融資
  • ◎用途自由