借地権付き建物の相続をきっかけに、地主や他の共同相続人との間でトラブルが発生することは珍しくありません。
この記事では、借地権の相続でよくあるトラブルを、「地主とのトラブル」と「相続人同士のトラブル」の2パターンで詳しく解説します。
また、トラブルの原因となりがちな、相続した借地権付き建物を処分する方法についても解説します。
借地権の相続をするかどうかでお悩みの方や、すでに相続した借地権でお悩みの方は、ぜひご一読ください。
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目次
借地権の相続でよくある【地主とのトラブル】

借地権の相続に際して、借地人(相続人)と地主の間で起こりがちなトラブルは、以下の通りです。
- 地主から、不当な名義変更料(譲渡承諾料)を要求される
- 地主から、地代の値上げや更新料を要求される
- 地主から、立ち退き(借地返還)を要求される
- 建物の建て替え・増改築を承諾してもらえない
- 借地契約の更新を拒否される
- 借地権の遺贈や売却に対する地主的承諾が得られない
トラブル①:地主から、不当な名義変更料(譲渡承諾料)を要求される
借地権の「相続」自体は、売買や贈与(遺贈を除く)とは異なり、地主の承諾や承諾料(名義変更料)は法律上不要です。
しかし、地主がこのことを理解しておらず、相続の報告の際に不当に高額な名義変更料(譲渡承諾料)を要求してくるケースがあります。
あくまで「相続」であること、法律上承諾料の支払いは不要であることを毅然と伝える必要がありますが、今後の関係性を考えると強く出られない、という方も多いでしょう。
トラブル②:地主から、地代の値上げや更新料を要求される
借地権付き建物を相続するにあたり、地主から「相続」を理由に地代の値上げを提示されることがありますが、地代などの契約内容も含めて相続しているため、原則として値上げに応じる必要はありません※。
また、地主から更新料の支払いを要求された場合も、契約内容に「更新料を支払う」旨の記載がなければ支払いの義務はありません。
※地代が近隣の相場よりも著しく安いなど、地主の主張が認められる場合、「地代等増減請求権」が成立し、地代の値上げを正式に請求されるケースもあります。
地主との交渉や、想定外の出費(更新料や値上げ分)の準備が難しい場合は、一時的な資金調達も視野に入れる必要があります。
大手町フィナンシャルでは、借地権付き不動産を担保としたご融資も扱っておりますので、お気軽にご相談ください。
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トラブル③:地主から、立ち退き(借地返還)を要求される
借地権を相続したことを地主に伝えたところ、「借主が亡くなったのだから契約は終わりだ」などと言われ、立ち退き(借地の返還)を要求されるケースがあります。
しかし、借地権は相続財産であり、相続人が契約を引き継ぐため、地主はこの理由で立ち退きを要求することはできません。
ただし、被相続人(亡くなった方)が地代を滞納していた場合などは、契約解除の正当な理由とされる可能性があります。
トラブル④:建物の建て替え・増改築を承諾してもらえない

相続した建物が老朽化しているため、建て替えや増改築をしたいと考えても、地主が承諾してくれないトラブルです。
借地上の建物を建て替え・増改築する際は、地主の承諾が必要です。
地主が承諾しない理由としては、無断で増改築されることへの懸念や、単に相続人との関係性が良くないことなどが挙げられます。
承諾を得るためには、承諾料(建て替え承諾料・増改築承諾料)の支払いが必要となるのが一般的です。
トラブル⑤:借地契約の更新を拒否される
借地契約には期間が定められており、満了時に更新が必要です。
相続した借地権の契約更新時期が迫っており、地主に更新を申し出たところ、拒否されるケースがあります。
地主が更新を拒否するには、「正当事由」が必要とされており、単に「相続人だから」という理由での拒否は認められにくいです。
しかし、地主側にも「自分で土地を使いたい」などの事情がある場合、交渉が難航することがあります。
トラブル⑥:借地権の遺贈や売却に対する地主的承諾が得られない
「相続」ではなく、遺言による「遺贈」(相続人以外への遺贈)や、相続後に売却(譲渡)をする場合、地主の承諾が必須です。
地主と交渉しても承諾が得られない場合は、裁判所に対して、「地主の承諾に代わる許可」を求める申し立てを行うことになります。
この申し立てのことを、一般に借地非訟と呼びます。
借地非訟の結果、「地主の承諾に代わる許可」が裁判所に認められると、地主の承諾を得ることなく借地権の遺贈や売却、譲渡が行えるようになります。
ただし、借地非訟の手続きには時間も費用もかかります。
もし売却を急いでいる場合や、手続き費用、あるいは地主への譲渡承諾料の支払いが難しい場合は、大手町フィナンシャルの不動産担保ローンで一時的な資金を確保することもご検討ください。
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借地権の相続でよくある【相続人同士のトラブル】

借地権を兄弟などの複数人で相続すると、「共同相続人」という関係になります。
共同相続人の間で起こりがちなトラブルとしては、以下のようなものがあります。
- 遺産分割協議で借地権の評価額でもめる
- 借地権付き建物の活用や処分について、共同相続人の間で意見が対立する
- 子や孫の代にまで問題を持ち越してしまう恐れがある
トラブル①:遺産分割協議で借地権の評価額でもめる
借地権付き建物の遺産分割協議では、共同相続人の間で、不動産の評価額に対する意見が対立することがあります。
例えば、相続人のうちの1名が借地権付き建物に居住し、他の相続人は居住しない場合、不動産をどのように評価し、立場が異なるそれぞれの相続人にとって公平感のある金銭の分配(代償分割)などを行うかは悩ましいポイントです。
相続人同士だけでは納得のいく結論に達せない場合、不動産の専門家に適正な評価額の算定を求めることもあります。
それでも意見の対立が解消されず、遺恨が残るケースは珍しくありません。
トラブル②:借地権付き建物の活用や処分について、共同相続人の間で意見が対立する
相続人の間で、借地権付き建物の活用や処分方法についての意見が対立することがあります。
例えば、「売却して現金化したい」者を希望する者と、「思い入れがあるから」住み続けたい者との間で意見が分かれるケースが代表的です。
また、借地権付き建物の場合、土地(借地)を借りている人物(=借地人)と、借地上の建物の所有者が同一名義である必要があります。
もし借地人(土地の借主)と借地上の建物の所有者の名義が異なる場合は、たとえ親族でも「借地権の無断譲渡」や「無断転貸」とみなされ、地主に借地契約を解除されてしまう恐れがあります。
さらに、借地権のある実家を兄弟で相続する場合、建物の全体売却や建て替えには共有者全員の合意が必要です。
遺産分割協議の際に、「とりあえず」共有名義で相続するケースも多いようですが、相続人の意見が対立して、不動産を有効に活用できないばかりか、人間関係が悪化する可能性があります。
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トラブル③:子や孫の代にまで問題を持ち越してしまう恐れがある
相続を繰り返すことで共有者が増え、子や孫の代にまで複雑な権利関係が持ち越されてしまう恐れがあります。
権利関係が複雑になればなるほど、売却や建て替えのハードルは上がり、最終的には誰も管理できない「負動産」となってしまう危険性もあります。
借地権の相続トラブルを未然に防ぐ方法

借地権の相続トラブルを避けるためには以下の2点に気を付けると良いでしょう。
- 地主と良好な関係を築いておく
- 遺言書などで相続方法を決めておく
予防法①:地主と良好な関係を築いておく
地主とのトラブルの多くは、コミュニケーション不足や信頼関係の欠如から生じます。
被相続人(親)の生前から、相続人(子)も地主と顔見知りになっておく、地代の支払いを遅らせない、定期的に近況を報告するなど、良好な関係を築いておくことが最も重要です。
関係性が良ければ、相続の報告や、建て替え・更新の相談などもスムーズに進む可能性が高まります。
予防法②:遺言書などで相続方法を決めておく
相続人同士のトラブルを防ぐためには、被相続人(親)が生前に遺言書を作成しておくことが有効です。
特に、借地権付き建物は「特定の1名が相続する」など、権利関係が複雑にならないよう指定しておくことが望ましいでしょう。
可能な限り借地権付き建物の共有名義での相続は避け、単独で相続する(または相続させる)ことをおすすめします。
借地権の相続を「放棄」することは可能
借地権は相続財産の一つとして扱われるため、他の財産と同様に相続放棄が可能です。
相続放棄をすることによって、固定資産税や地代の支払い義務から解放される、建物の維持管理の手間がなくなる、相続によって子供や孫にトラブルの可能性を引き継ぐ心配がなくなる、などのメリットがあります。
しかし、相続放棄を選択すると、借地権だけでなく預貯金などのプラスの財産も含めた全財産の相続を放棄することになるため、放棄すべきでない財産がないかを慎重に判断する必要があります。
相続放棄を行う際は、相続開始を知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」を提出します。
受理されるまでには1ヶ月ほどかかる場合もあるため、早めに手続きすることをおすすめします。
【トラブルの根本を解消】相続した借地権付き建物を処分する方法

借地権付き建物を相続したものの、空き家のまま放置していたり、活用する予定がなかったりと、悩みの種になっている相続人も少なくないようです。
相続した借地権付き建物をそのまま放っておくと、地主や共同相続人との間のトラブルにつながったり、自分の子供や孫の代にまで問題を持ち越してしまったりする恐れがあります。
相続した借地権付き建物を処分し、トラブルの根本を解消するための方法としては、主に以下の5つがあります。
- 更地にして、地主に土地を返還する
- 借地権付き建物を地主に買い取ってもらう
- 借地権付き建物を第三者に売却する
- 借地権付き建物+底地をセットで第三者に売却する
- 借地権付き建物を賃貸物件として貸し出す
処分方法①:更地にして、地主に土地を返還する
一般的には、借地契約を解約し借地権を手放す場合、借地人は建物を解体し、更地にして地主に返す必要があります(原状回復義務)。
この場合の解体費用は、原則借地人の負担になるため、解体費用が捻出できずにお悩みの方が多いのが実情です。
建物の解体費用がすぐに用意できない場合、大手町フィナンシャルの不動産担保ローンをご利用いただけます。
お手持ちの他の不動産や、場合によっては当該借地権(地主の承諾等、条件によります)を担保に、必要な資金を調達することが可能です。
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処分方法②:借地権付き建物を地主に買い取ってもらう

地主に借地権付き建物を買い取ってもらう方法です。
売買の条件さえ双方で合意できれば、最も手っ取り早く借地権付き建物を手放すことができる方法と言えるでしょう。
また、借地権付き建物を地主に売却する場合は、第三者に売却する場合とは異なり、譲渡承諾料の支払いが不要な点もメリットです。
しかし、借地人から地主に買い取りを持ち掛ける場合は、想定を大きく下回る価格で買い取られる場合がほとんどです。
借地権割合に基づいた金額での買い取りを希望する借地人にとっては、不本意な価格で借地権付き建物を手放すことになります。
処分方法③:借地権付き建物を第三者に売却する
借地上の建物は借地人の所有物であり、第三者に売却することが可能です。
建物の売却に伴って借地権も譲渡することになるため、地主の承諾※と、譲渡承諾料(名義変更料)の支払いが必要になります。
第三者への売却にあたっては、借地権の取り扱いに慣れた仲介業者などを利用することで、希望に近い価格で売却できる可能性もあります。
借地人にとっては、地主に売却するよりも大きな売却益を期待できる方法と言えるでしょう。
※地主の承諾(許諾)を得ないまま借地権を売却すると、賃貸借契約を打ち切られてしまう可能性があるため注意が必要です。
もしも地主が承諾しない場合は、裁判所に「承諾に代わる許可」を求める手続き(借地非訟)を取ることも可能です。
売却が完了するまでの間の固定資産税や地代の支払いが負担になる場合や、譲渡承諾料の準備が難しい場合は、一時的な資金調達として不動産担保ローンの活用もご検討ください。
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処分方法④:借地権付き建物+底地をセットで第三者に売却する
借地人と地主が協力して、借地権付き建物+底地(地主の所有権)をセットで第三者に売却する方法です。
所有者が異なる借地権付き建物と底地をそれぞれ単体で売却する場合、不動産としての評価は低くなり売買価格が安価になりやすいです。
借地権付き建物と底地を同時売却することで、買い手は完全所有権の土地と建物を手にすることができます。
それに伴い、単体で売却するよりも同時売却の方が高値で売却ができます。
ただし、建物と底地の価格(取り分)をはっきりとさせておかなければ、借地人と地主の間で売買代金を分配※する際にトラブルに発展する恐れがあります。
さらに、借地権付き建物+底地の同時売却は手続きが複雑です。
そのため、不動産の専門家に相談しながら行うことをおすすめします。
※借地権付き建物+底地の売却代金は、借地権割合を基準に分配するケースが多いです。
処分方法⑤:借地権付き建物を賃貸物件として貸し出す
一般的に、借地権付き建物は権利関係が複雑なことから、なかなか買い手がつかないことがあります。
そのような場合は、借地権付き建物を賃貸物件として貸し出すのも有効な手段です。
借地上の建物を第三者に賃貸する(貸し出す)だけなら、原則として地主の承諾は不要です。
ただし、貸し出す前にリフォームなどの大幅な増改築を行う場合は、地主からの承諾が必要になることがあるため注意が必要です。
賃貸に出すためのリフォーム費用が必要な場合、大手町フィナンシャルにご相談ください。
当社は借地権付き不動産も担保として柔軟に評価しており、リフォーム資金にもご利用いただける不動産担保ローンを提供しています。
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相続トラブルの解決が難しい場合の相談先

当事者間での解決が難しい場合は、専門家に相談することが重要です。
主な相談先として、弁護士と不動産会社が挙げられます。
相談先①:弁護士
地主や他の相続人との間で、すでに法的なトラブル(地代の値上げ請求、遺産分割協議の不調など)が発生している場合は、弁護士に相談するのが最適です。
法的な観点から、あなたの権利を守るためのアドバイスや、相手方との交渉、場合によっては調停や訴訟(借地非訟など)の代理を依頼できます。
相談先②:不動産会社
相続した借地権付き建物の売却、活用(賃貸など)、または処分(地主との交渉含む)を具体的に検討している場合は、不動産会社が相談先となります。
特に、借地権や底地の取り扱いに精通した専門の不動産会社を選ぶことが重要です。
査定や売却の仲介、地主との交渉(売却承諾や底地との同時売却など)をサポートしてくれます。
また、不動産会社に相談する中で、売却やリフォームのための「つなぎ資金」や「費用」が必要になることもあります。
大手町フィナンシャルは、不動産の専門家(不動産会社)と連携したご融資も得意としております。
資金調達の必要がある場合は、当社のような不動産担保ローン専門会社も併せてご検討ください。
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借地権の相続トラブルに関してよくある質問

最後に、借地権の相続トラブルに関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q1.借地権を相続しましたが、地主への挨拶は必要ですか?
A.法的な義務はありませんが、今後の良好な関係を築くために、挨拶(相続した旨の報告)はしておくべきです。
前述の通り、相続に地主の承諾は不要ですが、地主側も「誰が新しい借地人になったのか」を知る権利があります。
報告を怠ると、地主側に不信感を与え、将来の建て替えや更新の際に不利になる可能性があります。
Q2.亡くなった親が地代を滞納していました。相続人は支払う必要がありますか?
A.はい、支払う必要があります。
地代の滞納分(債務)も相続財産の一部として引き継がれます。
滞納を放置すると、地主から契約を解除され、借地権そのものを失う危険性があるため、早急に対応が必要です。
もし滞納分が一括で支払えない場合は、相続した不動産(借地権含む)を担保に資金調達することも可能です。
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Q3.借地権の契約書が見つかりません。どうすればよいですか?
A.まずは地主に契約書の写しを持っていないか確認しましょう。
地主も紛失している場合は、法務局で土地の登記簿謄本を取得し、過去の登記(賃借権設定登記など)がないか確認します。
それでも見つからず、契約内容が不明な場合は、地主と協議の上、改めて契約書(または合意書)を作成し直すことをおすすめします。
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Q4.借地権を共有名義で相続する際の注意点は何ですか?
A.最大の注意点は、売却や建て替え、賃貸などの「処分・変更行為」に共有者全員の同意が必要になることです。
本記事の「相続人同士のトラブル」でも解説した通り、共有者のうち1人でも反対すれば、不動産を自由に活用できなくなります。
また、将来さらに相続が発生すると、権利関係がより複雑化するリスクがあります。
共有名義の不動産(共有持分)は、銀行などでは担保として評価されにくい傾向があります。
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