不動産を担保にローンを借り入れしている方は、返済できずに競売になってしまうリスクについてよく理解しておく必要があります。この記事では、どんな時に担保不動産競売になるのか、競売を回避する方法についてわかりやすく解説します。
目次
担保不動産競売とは?
担保不動産競売とは、債務者が住宅ローンや不動産担保ローンなどを返済できなくなった場合に、担保として提供した不動産を強制的に売却し、その売却代金で債権を回収する手続きです。
担保不動産競売になるのはどんなとき?
ローンが返済できず、抵当権が実行されてしまうと、担保不動産競売になります。
不動産を担保にローンを借り入れる場合、担保となる不動産に抵当権を設定します。抵当権とは、ローンの返済ができなくなった場合に、債権者である金融機関は、不動産を差し押さえることができる権利のことです。
万が一、ローンの返済ができなくなった場合は、抵当権が実行されます。抵当権の実行によって、担保不動産競売になります。
担保不動産競売になってしまうと、債務者の意思に関係なく、強制的に不動産が売却されてしまいます。
担保不動産競売になることのデメリットは?
競売(強制競売)になることのデメリットは、大きく3つあります。
- 売却価格が安くなる
- 競売になったことが周囲に知られてしまう
- 債務者の意思は一切反映されない
売却価格が安くなる
一般的な不動産売却と比較して、競売での落札価格は大幅に低くなります。
不動産担保ローンを契約している方の中には、「ローンを返済できなくなっても担保不動産を売ればローンを完済できるから大丈夫」と思っている方もいるでしょう。
しかし、不動産担保競売の場合、売却価格は市場価格よりも大幅に低くなります。競売によって不動産を売却したとしても、安い価格でしか売れず結局ローンが完済できずに、残債務が残るケースも珍しくありません。
競売になったことが周囲に知られてしまう
競売手続きが進むと、「この物件が競売にかけられています」とインターネット等で公告されます。その際、所在地や外観や室内の写真なども一般に公開されます。
つまり、競売にかけられたことが、近所の人や会社の人に知られてしまうのです。また、競売手続きが進むと、裁判所の執行官が現地調査を行います。場合によっては、近隣住民への聞き取り調査も行います。
また、不動産会社が物件の確認に突然訪ねてくることもあります。このような事態になると、精神的な苦痛も大きくなります。
債務者の意思は一切反映されない
競売手続きに移行した場合、残念ながら債権者の意思は反映されないまま、競売の申立人である債権者が主導になって、手続きが進んでいきます。
売却価格を交渉することもできませんし、引っ越し時期を調整してもらうこともできません。家族と同居している不動産の場合は、家族にも大きな影響を与えてしまいます。
競売には、このような大きなデメリットがある点を理解しておきましょう。
担保不動産競売になるまでの流れ
不動産が競売になることを不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、突然、担保不動産競売になるわけではありません。ローンの返済が滞ってから、担保不動産競売になるまでの流れは、以下の通りです。
- ローンの返済が滞る
- 金融機関から催促状が届く
- 期限の利益を喪失する
- 競売の申し立て
- 競売開始決定
- 執行官の訪問
- 売却基準価額の決定
- 一般公開・入札の開始
- 開札
多くのステップがありますが、本記事では、大きく「ローンの滞納〜期限の利益を喪失するまで」と「競売の申し立て〜落札まで」に分けて、解説します。
ローンの滞納~期限の利益を喪失するまで
まず、最初のフェーズは、ローンの滞納から期限の利益を喪失するまでの期間です。
ローンが返済できなくなる可能性がある場合、早めに金融機関に相談しましょう。
- 月々の返済額を減らし、返済期間を長くしてもらう
- 金利の低いローンに借り換える
このような方法を提案して貰える可能性があります。
ローンを滞納し続けた場合、期限の利益を喪失することになります。
期限の利益の喪失とは、債務者が約束した期日までに借金を返済する権利である「期限の利益」が失われることです。期限の利益を喪失すると、債務者はローンを分割で返済する権利を失い、一括返済が求められます。
競売の申し立て~落札まで
金融機関からの催促状を無視し続けた場合、いよいよ競売の申し立てが行われます。
競売の申し立ては、債権者である金融機関または債権回収会社である保証会社が行います。
担保不動産を管轄する裁判所に、申立書や支払いが滞っていることを証明する書類を提出します。
競売の開始決定から、落札までは、およそ3か月~6か月程度かかると言われています。
では、担保不動産を競売を回避する方法はあるのでしょうか。
担保不動産競売を回避する任意売却とは
担保不動産を競売を回避する方法として、任意売却があります。
任意売却とは、わかりやすく言うと、競売になる前に自主的に不動産を売却する手続きのことです。
結論から申し上げますと、競売よりも任意売却の方が、債権者と債務者双方にとってメリットが大きいです。
競売と任意売却の主な違いは以下の通りです。
競売 | 任意売却 | |
主体 | 債権者(金融機関など)が裁判所を通じて強制的に行う | 債務者が自らの意志で、金融機関と協力して売却を行う |
売却価格 | 市場価格を大きく下回る | 市場価格に近い金額で売却できる |
売却の時期 | 債務者の意思は関係なく、強制的に手続きが進行 | 債務者と金融機関が協力して、売却価格やタイミングを決定 |
新生活のサポート | 一切なし | 新居探しや引っ越し費用等をサポートしてくれることもある |
任意売却の最大のメリットは、売却価格が高くなることです。
また、金融機関によっては、引っ越しのタイミングを配慮してくれたり、新居探しをサポートしてくれるケースもあります。
競売になった後でも任意売却できる?
競売が申し立てられた後でも、任意売却は可能です。
厳密に言うと、競売の開札日前日までであれば、競売を取り下げて任意売却に切り替えることができます。
ローンを滞納し、競売になるまで何もせずに待っていても何のメリットもありません。
任意売却という選択ができる期間内に、できるだけ早めに金融機関に相談するようにしましょう。
担保不動産競売を避けるための心得
大前提として、担保不動産競売を避けるためには、ローンを契約する際に無理のない返済計画を立てることが大切です。
とは言え、予期せぬ事情により、ローンの返済が滞る可能性は誰にでもあり得る事態です。
担保不動産競売を避けるためには、以下の心得が大切です。
- 返済の遅延を避ける
- 早めに金融機関に相談する
- 債務整理を検討する
- 不動産を売却する
返済の遅延を避ける
返済の遅延を避けるためには、まずローンを組む際に入念に返済計画を考えることです。
収入に照らし合わせて問題なく月々返済できる額かどうか、できれば家族と相談しながら慎重に検討しましょう。
また、返済が遅延する可能性がある場合は、返済資金を作るために、車、家電、貴金属、宝石、ブランド品など、不要な資産を売却するのも一つの手段です。
早めに金融機関に相談する
早めに金融機関に相談し、返済計画を見直すことも大切です。金融機関は、返済スケジュールや金利の低いローンへの借り換えなどを提案してくれる可能性があります。
時間が経てば経つほど、金融機関としても対応できる範囲が狭まってしまいます。できるだけ早い段階で、相談することをおすすめします。
債務整理を検討する
代表的な債務整理の一つが、自己破産です。自己破産をすると、借金の返済義務がなくなります。
ただし、ブラックリストに載る、一定の職業に就くことができなくなる、引越しや旅行が自由にできなくなる、郵便物(※一定期間のみ)を自分で受け取ることができなくなるなど、人生に大きく影響するリスクの大きな選択肢です。家族と協議し、慎重に判断しましょう。
不動産を売却する
どうしても返済資金が確保できない場合は、先述した任意売却によって、不動産を売却して得たお金を返済に充てましょう。
不動産担保ローンは、不動産としての評価が高ければ、比較的容易にローンの借り入れができる金融商品です。しかし、最悪の場合は、担保不動産を失ってしまうリスクがあることを十分理解した上で、利用するようにしましょう。
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