法人向け銀行融資の種類|審査に通るポイントや条件、流れも解説

法人向け銀行融資の種類|審査に通るポイントや条件、流れも解説

企業の成長や安定経営に不可欠な資金調達。

その代表的な方法である銀行融資について、

「種類が多くてどれを選べばいいかわからない」「審査に通るにはどうすればいいの?」「手続きの流れは?」

といった疑問やお悩みをお持ちの経営者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、法人向け銀行融資の基本的な仕組みから、手形貸付・当座貸越・証書貸付といった融資形態、プロパー融資や信用保証協会付融資、不動産担保ローンなどの代表的な融資の種類、そして申し込みから融資実行までの流れ、さらには審査に通過するための具体的な条件やポイントに至るまで、網羅的に分かりやすく解説します。

銀行融資とは?

銀行融資とは、銀行などの金融機関が、企業(法人)や個人事業主に対して事業に必要な資金を貸し付けることです。

企業経営において、運転資金の確保や設備投資、新規事業の立ち上げなど、さまざまな場面で資金調達が必要となります。

銀行融資は、そうした企業の資金ニーズに応える代表的な方法の一つであり、企業の成長や経営の安定化を支える重要な役割を担っています。

融資を受けるためには、銀行による審査を通過することが不可欠です。

銀行は、企業の財務状況や事業計画の妥当性、返済能力、将来性などを多角的に評価し、融資の可否や条件(融資額、金利、返済期間など)を決定します。

この審査においては、決算書や試算表、事業計画書といった書類の提出が求められ、経営者の資質や事業への熱意なども判断材料となる場合があります。

また、融資の種類によっては、不動産などの担保や保証人、あるいは信用保証協会の保証が必要となるケースも一般的です。

銀行融資には3つの「融資形態」がある

銀行の「融資形態」には、以下の3種類があります。

  1. 手形貸付
  2. 当座貸越
  3. 証書貸付


どの融資形態を選ぶかは、必要な資金の性質(運転資金か設備資金かなど)や金額、必要な期間によって異なります。

例えば、短期的なつなぎ資金が必要な場合と、大規模な設備投資のための長期資金が必要な場合とでは、適した融資形態が変わってきます。

それぞれの形態にはメリット・デメリットがあり、金利や返済方法、審査のスピードなども異なります。

自社の状況や資金使途に合わせて最適な方法を選択することが、効果的な資金調達と健全な財務状況の維持につながります。

1.手形貸付

手形貸付※とは、企業が「〇月〇日に△△円支払います」といった約束を記載した「約束手形」を作成し、それを銀行に買取ってもらう(割り引いてもらう)形でお金を借りる方法です。

銀行は、期日までの利息分などを差し引いた金額を企業に融資します。

この方法は、仕入代金の支払いや従業員への賞与支給など、一時的に運転資金が不足するといった、比較的短い期間の資金ニーズに応えるためによく利用されます。

手形貸付の便利な点は、他の融資方法と比べて手続きが比較的スムーズに進み、スピーディーに資金を調達できる可能性があることです。

ただし、返済に関しては注意が必要です。

借りたお金は、手形に記載された支払期日に一括で返済するのが原則となります。

そのため、利用する際には、期日までに確実に返済資金を用意できるという明確な見通しと、しっかりとした返済計画が欠かせません。

もし期日に返済できなければ、その手形は「不渡り」となり、企業の信用情報に深刻なダメージを与え、今後の資金調達に大きな支障をきたすリスクがあります。

繰り返しの利用や希望する融資金額によっては、銀行による審査が行われ、企業の業績や財務状況次第では担保や保証人が求められることもあります。


※2026年度末(2027年3月末)をもって、手形交換所における紙の手形・小切手の取扱いは終了する見込みです。ただし、これは物理的な紙媒体に限った話であり、電子記録債権(でんさい)のような電子化された決済方法は引き続き利用できます。

2.当座貸越

当座貸越とは、あらかじめ銀行と会社の間で「いつでも借りられるお金の上限額」を決めておく契約です。

当座貸越の契約を結んでおくと、会社の普通預金や当座預金の口座残高がゼロになっても、設定した上限額までなら、銀行が自動的にお金を貸してくれます。

会社の預金口座に専用の「融資枠(予備タンク)」が付いているようなイメージです。

この仕組みの大きな特徴は、一度契約すれば、その上限額の範囲内なら、特別な手続きなしで何度でもお金を借りたり返したりできる点です。

例えば、「急な支払いでお金が足りない!」「一時的に運転資金が不足しそう」といった場面でも、すぐに対応できるため、会社のお金の流れをスムーズにするのに役立ちます。

利息は、実際に借りている金額と期間に応じて発生し、返済は、口座にお金が入金されると自動的に行われるのが一般的です。

ただし、便利な反面、注意点もあります。

金利は他の融資方法(例えば証書貸付)に比べて少し高めに設定されていることが多いです。また、「いつでも借りられる」という手軽さから、つい使いすぎてしまい、気づかないうちに借入額が増えて経営を圧迫してしまうリスクもあります。

この契約を結ぶためには銀行の審査が必要で、会社の信用力やこれまでの取引実績が重視されます。

審査の結果によっては、不動産などの担保や保証人が必要になる場合もあります。

また、契約には期間があり、継続して利用するには更新時の審査を通過しなくてはなりません。

3.証書貸付

証書貸付は、銀行と企業が「金銭消費貸借契約書」という正式な契約書を取り交わして行う融資形態です。

一般的に、設備投資資金や長期運転資金、新規事業の立ち上げ資金(創業融資)など、比較的高額で、返済期間が長期にわたる資金調達に用いられます。

融資実行時に契約した金額が一括で企業の口座に振り込まれ、その後は契約書で定められた返済方法(元利均等返済や元金均等返済など)と返済期間に従って、毎月分割で返済を進めていくのが基本的な流れです。

証書貸付の審査は、手形貸付や当座貸越に比べてより慎重に行われる傾向があり、事業計画の詳細な説明や、将来の収益見込み、返済能力を裏付ける資料(決算書、試算表、資金繰り表など)の提出が求められます。

審査には時間がかかる場合が多く、申し込みから融資実行まで数週間から1ヶ月以上を要することも少なくありません。

多くの場合、不動産などの物的担保や、経営者などの連帯保証人が必要となります。

契約内容が明確に定められるため、計画的な資金調達と返済管理に適していますが、契約後の条件変更は原則として難しい点に注意が必要です。

法人向け銀行融資の種類

法人が資金調達に利用する銀行融資の種類としては、以下のものが代表的です。

  • プロパー融資
  • 信用保証協会付融資
  • 売掛金債権担保融資(ABL)
  • ビジネスローン
  • カードローン
  • 不動産担保ローン

それぞれ特徴や条件が異なるため、企業の状況や資金使途に応じて選択する必要があります。

プロパー融資

プロパー融資とは、信用保証協会の保証を付けずに、銀行が直接、自己の責任において企業に無担保で融資を行う方法です。

銀行にとっては、万が一貸し倒れが発生した場合のリスクを全て負うことになるため、審査は非常に厳格に行われます。

対象となるのは、一般的に業績が良好で、財務状況が健全、かつ将来性が見込まれる信用力の高い企業に限られます。

銀行は、提出された決算書や事業計画書などを精査し、企業の返済能力や事業の成長性を慎重に判断します。

プロパー融資を受けられることは、銀行から高い評価と信頼を得ている証ともいえます。

メリットとしては、信用保証協会への保証料が不要である点、そして融資額や金利、返済期間などの条件について、銀行と直接交渉できる可能性がある点が挙げられます。

銀行との強固な信頼関係があれば、より有利な条件での借入が期待できるかもしれません。

融資形態としては、長期の設備資金や運転資金に対応する証書貸付が一般的ですが、企業の高い信用力を背景に、当座貸越枠の設定や手形貸付といった形で利用されるケースもあります。

ただし、審査基準の高さから、多くの中小企業にとってはハードルが高い融資といえるでしょう。

信用保証協会付融資

信用保証協会付融資は、企業が銀行から融資を受ける際に、公的機関である信用保証協会が保証人となる制度です。

この制度を利用することで、万が一企業が返済不能に陥った場合、信用保証協会が銀行に対して借入残額の一部または全部を代わりに弁済(代位弁済)します。

銀行にとっては貸し倒れリスクが大幅に軽減されるため、プロパー融資に比べて審査のハードルが下がり、より多くの企業が融資を受けやすくなります。

特に、設立間もない企業や事業実績が乏しい中小企業、個人事業主にとっては、有力な資金調達手段の一つとなります。

信用保証協会付融資のメリットは、こうした利用のしやすさに加えて、創業支援や経営改善支援など、企業の状況に応じた多様な保証制度が用意されている点です。

一方で、デメリットとしては、融資を受ける際に信用保証協会に対して所定の保証料を支払う必要があること、そして審査プロセスに信用保証協会も加わるため、申し込みから融資実行までに時間がかかる傾向があることが挙げられます。

また、保証を受けられる融資額には上限が設けられています。利用される融資形態は証書貸付が中心となりますが、運転資金向けの当座貸越に対応した保証制度や、手形割引に関する保証制度も存在します。

売掛金債権担保融資(ABL)

売掛金債権担保融資(ABL:Asset Based Lending)は、企業が保有している「売掛債権」、つまり取引先に対して商品やサービスを提供したものの、まだ回収できていない代金を担保として、銀行から融資を受ける方法です。

企業が持つ資産(この場合は売掛金)を有効活用して資金調達を行う手法の一つといえます。

不動産のような物的担保や保証人が不足している企業でも、安定した売掛金があれば利用できる可能性がある点が特徴です。

通常、保有する売掛金の総額や、個々の売掛先の信用力などを基に融資限度額が設定され、その範囲内で資金を借入れることになります。

資金繰りが一時的に厳しい場合や、急な運転資金が必要になった際に役立ちます。

ただし、これはあくまで「融資」であり、売掛金を買い取るファクタリングとは異なります。したがって、企業には返済義務が生じます。

また、銀行は担保となる売掛金の回収可能性を評価するため、売掛先の信用力も審査の対象となる場合があります。

売掛金の管理状況などもチェックされるため、日頃から適切な債権管理体制を整えておくこともポイントです。

金利は、他の融資方法に比べてやや高めに設定される可能性もあります。

融資形態としては、売掛金の状況に応じて融資枠が変動する当座貸越契約や、特定の売掛債権を対象とする証書貸付などの形で提供されることがあります。


売掛金を利用する融資につきましては、こちらの記事もご参照ください▼
売掛金を利用して資金調達する方法|売掛債権担保融資とファクタリング

ビジネスローン

ビジネスローンは、主に中小企業や個人事業主を対象とした、比較的少額かつ短期の事業資金融資を指します。

銀行のプロパー融資や信用保証協会付融資と比較して、審査スピードが速く、手続きが簡便であることが大きな特徴です。

中には、申し込みから最短即日で融資が実行されることを謳う商品もあります。

また、原則として無担保・無保証人で利用できるビジネスローンも多く、急な資金需要が発生した場合などに迅速な対応が期待できます。

オンラインでの申し込みや契約手続きが可能な場合も増えており、利便性が高い点もメリットといえるでしょう。

必要書類も、決算書が不要であったり、確定申告書のみで申し込めたりするなど、一般的な銀行融資に比べて少ない傾向があります。

しかし、その手軽さやスピードと引き換えに、金利はプロパー融資や信用保証協会付融資よりも高く設定されていることが一般的です。

融資限度額も低めであることが多く、まとまった大きな資金調達には向きません。

利用の際には、金利負担や返済計画を十分に検討し、安易な借入は避けるべきでしょう。

融資形態としては、契約時に一括で資金を借り入れ、その後分割で返済していく証書貸付タイプが一般的です。

カードローン

カードローンは、専用のカードを利用して、ATMなどから予め設定された利用限度額の範囲内で、いつでも自由に現金の借入や返済ができるローン商品です。

一般的には個人向けのイメージが強いですが、中には法人や個人事業主向けの「ビジネスカードローン」あるいは「事業者向けカードローン」といった名称で、事業性資金に対応しているものも存在します。

その場合、当座貸越契約に近い性質を持ち、ビジネスローンの一種として位置づけられます。

最大のメリットは、その利便性とスピード感です。

契約さえ済んでいれば、審査なしで必要な時に必要な金額だけ、迅速に資金を調達できます。

急な支払いや一時的な運転資金の不足などに対応しやすいでしょう。

しかし、デメリットも少なくありません。

まず、金利が他の融資商品と比較して非常に高く設定されている傾向があります。

また、事業性資金として利用する場合でも、限度額は低めに抑えられることが一般的です。

さらに、手軽に借入ができるため、プライベートな支出と事業資金の区別が曖昧になったり、安易な利用が重なって返済困難に陥ったりするリスクも潜んでいます。

銀行によっては、そもそも法人向けのカードローンを取り扱っていないケースもあります。

利用を検討する際は、高い金利負担と利用リスクを十分に理解し、他の資金調達方法と比較検討することが不可欠です。

融資形態としては、当座貸越契約に基づいた貸付となります。

不動産担保ローン

不動産担保ローンは、企業やその経営者などが所有する土地や建物といった不動産を担保に設定し、金融機関から融資を受ける方法です。

銀行だけでなく、大手町フィナンシャルのようなノンバンク系の金融機関でも広く取り扱われています。

このローンの大きな特徴は、担保となる不動産の価値を評価し、それに基づいて融資可能額や条件が決定される点にあります。

そのため、企業の業績や信用情報だけでは審査通過が難しい場合、例えば赤字決算や税金の滞納がある、設立間もないといった状況でも、価値のある不動産を所有していれば融資を受けられる可能性があります。

メリットとしては、担保があることで金融機関のリスクが低減されるため、無担保ローンに比べて金利が低めに設定されたり、融資額が大きくなったり、返済期間を長期に設定できたりする傾向があることです。

運転資金や設備投資、納税資金、他社からの借換資金など、資金使途の自由度が高い商品が多いのも魅力です。

一方で、担保となる不動産がなければ利用できず、万が一返済が滞った場合には、その不動産を失ってしまうという重大なリスクが伴います。

また、不動産の評価や登記に関わる費用、事務手数料などの諸経費が発生する点、審査や手続きに一定の時間を要する点も考慮する必要があります。

融資形態としては、まとまった資金を一括で借り入れ、長期にわたって分割返済していく証書貸付が一般的です。

なお、大手町フィナンシャルの不動産担保ローンは24時間審査・最短即日のスピード融資にも対応可能です。

低金利かつ高額の融資(最大20億円)も可能ですので、資金調達をご検討中の経営者様はぜひお気軽にご相談ください。


こちらの記事もあわせてご参照ください▼
審査・融資が早い不動産担保ローンのおすすめを紹介

法人が銀行融資で資金調達する流れ【プロパー融資の場合】

法人が銀行融資を受ける際の一般的な流れは以下の通りです※プロパー融資の場合。

  1. 銀行窓口での事前相談
  2. 必要書類の準備・提出
  3. 融資担当者との面談
  4. 銀行による審査
  5. 融資契約の締結

銀行窓口での事前相談

プロパー融資の検討は、まず取引のある銀行の窓口や、日頃から関係のある融資担当者へ相談することから始めましょう。

最初の相談時には、なぜ資金が必要なのか(資金使途)、具体的な希望融資額、想定している返済計画の概要、そして自社の現在の経営状況などを明確に伝えることが大切です。

事前に自社の財務状況(簡単な試算表などがあると良いでしょう)や融資希望のポイントを整理し、可能であれば直近の決算書などの資料を持参すると、より踏み込んだ対話が期待できます。

事前相談を通じて、銀行側からプロパー融資の可能性や、今後の手続き、準備すべき書類といった具体的なアドバイスを得られます。

また、単に情報を得るだけでなく、銀行との相互理解を深め、信頼関係を築くための第一歩となり、融資プロセス全体を円滑に進める上で意義があります。

初期段階において自社の状況を正直に開示し、真摯に相談する姿勢が、その後の手続きを円滑に進める鍵となるでしょう。

必要書類の準備・提出

次のステップは、審査に必要な書類の準備と提出です。

特に審査が厳格なプロパー融資において、提出書類は企業の信用力や事業の将来性、返済能力を銀行が判断するための基盤となります。

そのため、書類に不備があったり内容が不正確だったりすると、審査が滞るだけでなく、融資を受けられない可能性も否定できません。

銀行から指示された書類は、漏れなく正確に作成・収集してください。

中でも事業計画書は、資金使途の妥当性や将来の収益見通し、具体的な返済計画を説得力をもって示す上で鍵となります。

実現可能性の高い具体的な計画を記載しましょう。

また、決算書や試算表は企業の財務状況を正確に伝える基本資料であり、納税証明書は納税義務を果たしている証明として、多くの場合提出が必要となります。

登記簿謄本や印鑑証明書など、書類によっては発行に時間を要するものもあるため、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが大切です。

必要であれば、税理士といった専門家に相談しながら進めるのも有効な方法といえます。


銀行のプロパー融資における一般的な必要書類リスト▼

書類のカテゴリ書類名取得場所補足
1. 法人の基本情報商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)法務局通常、発行後3ヶ月以内
定款のコピー会社の基本規則が記載された書類
法人の印鑑証明書法務局通常、発行後3ヶ月以内
2. 財務状況決算書(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、勘定科目明細書等)通常、過去2~3期分。税務申告書控え一式の場合も。
試算表直近の月次試算表など。
資金繰り表過去の実績と今後の計画。
3. 事業計画事業計画書
企業概要、事業内容、市場分析、資金使途、収益・返済計画などを具体的に記載。
設備投資に関する資料(設備資金の場合)導入設備のカタログ、見積書など。
4. 納税状況納税証明書税務署、都道府県・市区町村法人税、消費税、事業税、固定資産税など、滞納がないことの証明。
5. 担保・保証人
(該当する場合)
不動産関連書類(不動産担保の場合)法務局など登記簿謄本、公図、固定資産評価証明書など。
保証人関連書類経営者個人の印鑑証明書、収入証明(源泉徴収票や確定申告書)、資産状況資料など。
6. その他会社案内・パンフレット事業内容の補足資料。
許認可証のコピー許認可が必要な業種の場合。
代表者の本人確認書類運転免許証、パスポートなどのコピー。
借入状況一覧表他の金融機関からの借入がある場合。

融資担当者との面談

必要書類を提出した後、通常は銀行の融資担当者との面談が設定されます。

案件によっては支店長などが同席することもあります。

この面談は、提出された書類内容の確認はもちろんのこと、書類だけでは分からない経営者の資質や事業への熱意、将来に対するビジョン、そして人物としての信頼性といった定性的な要素を銀行が見極めるための重要な場となります。

特に銀行にとってリスクの高いプロパー融資では、経営者自身が信頼できるかどうかが厳しく評価される傾向にあります。

面談の場では、事業内容や融資を希望する理由(資金使途)、自社の強み、市場における立ち位置、具体的な返済計画などを、論理的に、かつ熱意を込めて説明することが求められます。

銀行担当者からの質問に対しては、曖昧な受け答えは避け、誠実に、自信を持って回答する姿勢を意識しましょう。

仮に事業上のリスクや銀行側が懸念しそうな点を問われた場合でも、正直に状況を伝えつつ、具体的な対策や改善策を示すことで、むしろ問題解決能力や真摯な姿勢を伝える好機と捉えることができます。

会社の代表として、銀行に安心感と信頼感を与えられるよう、服装や言葉遣い、態度にも配慮が必要です。

銀行による審査

提出された書類や面談内容を基に、銀行内部で融資の可否、そして実行する場合の条件(融資額、金利、返済期間、担保の要否など)を最終的に決定するプロセスを「審査」と呼びます。

この審査は通常、融資担当者から支店の責任者、さらに本部の関連部署(融資部、審査部など)へと段階的に稟議が進むのが一般的です。

融資希望額が大きい、あるいは銀行にとってリスクが高いと判断される案件ほど、より多くの承認が必要となり、審査は慎重に進められます。

銀行が審査において最も重視するのは企業の「返済能力」であり、過去の業績や現在の財務状況、キャッシュフローなどから安定的な返済が可能かを判断します。

同時に、事業そのものの成長性や将来性、資金使途の妥当性、経営者の能力や信頼性、さらには銀行内部の信用格付けなども含めて総合的に評価が下されます。

審査にかかる期間は案件によって異なりますが、プロパー融資の場合、数週間から1ヶ月以上を要することも少なくありません。

審査期間中、銀行から追加資料の提出依頼や質問が来ることもありますので、企業側は迅速かつ誠実に対応することが望ましいでしょう。

審査が完了すれば、銀行から電話や書面にて結果が通知されます。

融資契約の締結

銀行の審査を経て融資が承認されたら、最終ステップとして正式な融資契約の締結へと進みます。

まずは銀行から提示された融資額、金利、返済期間、担保条件といった最終的な融資条件を確認し、内容に納得できれば契約手続きに入ることになります。

手続きの中心となるのは、銀行が用意する「金銭消費貸借契約書」への署名と法人実印(代表者印)の押印です。

また、不動産担保を設定する場合は「抵当権設定契約書」、連帯保証人を立てる場合は「保証契約書」など、関連する契約も同時に締結するのが一般的です。

契約書は法的な拘束力を持ちますので、署名・捺印する前には記載内容を細部まで注意深く確認することが不可欠です。

融資の基本条件はもちろん、返済方法、万が一返済が遅れた場合の遅延損害金、そして特定の状況下で残債の一括返済を求められる「期限の利益喪失条項」など、不利になりうる条件についても見落としがないか、しっかりと読み込みましょう。

少しでも不明な点があれば、必ず契約前に銀行担当者に質問し、完全に理解した上で手続きを進めてください。

契約時には、法人の印鑑証明書や登記簿謄本、代表者の身分証明書などが必要となる場合が多いため、事前に銀行へ確認し準備しておきます。

すべての契約手続きが完了すると、通常は数営業日以内に指定した法人口座へ融資金額が振り込まれ、これをもって一連の資金調達プロセスは完了です。

その後は、契約内容に則って着実に返済義務を果たしていくことになります。

法人が銀行融資の審査に通過するための条件やポイント

法人が銀行融資の審査に通過するための条件やポイントは、以下の通りです。

  • 財務状況が健全であることを示す
  • 説得力のある事業計画書を作成する
  • 「格付け」を良くする
  • 担保や保証人を用意する
  • 税金や公共料金などは滞納せず、期日内に支払う
  • 銀行との良好な関係を築く

財務状況が健全であることを示す

銀行融資の審査において、企業の「返済能力」は最も重視されるポイントであり、その能力は主に財務状況から客観的に判断されます。

銀行は提出された決算書や試算表を基に、収益が安定しているか(黒字経営が理想)、自己資本は十分か、借入金のバランスは適切か、そしてキャッシュフローは潤沢かといった点を精査します。

健全な財務状況をアピールするためには、日頃から適切な会計処理に基づき、正確な財務諸表を作成・管理しておくことが基本となります。

たとえ一時的に赤字決算や債務超過といった厳しい状況にあったとしても、その原因を明確に分析し、具体的な改善策と将来の収益見通しを説得力をもって示すことができれば、銀行の信頼を得て融資の可能性に繋げられるケースもあります。

説得力のある事業計画書を作成する

事業計画書は、融資の妥当性、企業の将来性、そして返済能力を銀行に示す重要な書類です。

なぜ資金が必要で(理由)、何に使い(資金使途)、いくら借りたいのか(希望額)、そして融資を元にどう事業を展開し収益を上げ、返済していくのか、一貫したストーリーで具体的に示す必要があります。

計画全体が希望的観測ではなく、客観的根拠に基づき実現可能であることが不可欠です。

必要であれば税理士などの専門家の助言を得ながら、銀行担当者が理解しやすい記述を心がけながら作成しましょう。

「格付け」を良くする

銀行は、融資審査を行う際に、独自の基準に基づいて企業を評価し、「格付け」を行っています。

この格付けは、決算書などのデータに基づく定量的な評価(財務状況、収益性、安全性など)と、経営者の資質や技術力、事業の将来性といった定性的な評価を組み合わせて決定されます。

格付けの結果は、融資の可否だけでなく、金利や融資期間といった融資条件にも影響を与えることがあります。

格付けを良くするためには、まず第一に、日々の経営努力によって財務内容を改善していく必要があります。

具体的には、売上増加やコスト削減による収益性の向上、利益の内部留保による自己資本の増強などが挙げられます。

また、事業計画書などで自社の強みや成長性を積極的にアピールすることや、経営状況の透明性を高めることも、定性評価の向上につながる可能性があります。

担保や保証人を用意する

企業の信用力だけでは融資の承認を得るのが難しい場合でも、担保や保証人を用意することで、銀行のリスクを軽減し、審査通過の可能性を高めることができます。

担保としては、土地や建物といった不動産が代表的です。

不動産は比較的価値が安定しており、評価額も高くなりやすいため、銀行にとって有力な保全策となります。

不動産担保を提供することで、より大きな金額の融資や、低い金利での借入が可能になるケースもあります。

保証人については、中小企業の場合、経営者個人が連帯保証人となることが一般的です。

ただし、近年は「経営者保証に関するガイドライン」の運用が進み、一定の条件を満たせば経営者保証なしで融資を受けられる可能性も広がっています。

税金や公共料金などは滞納せず、期日内に支払う

法人税や消費税、事業税といった税金、あるいは社会保険料、公共料金などの支払いを滞納している事実は、銀行の融資審査において非常にネガティブな評価につながります。

これらの支払いを期日通りに行っているかは、企業の基本的な信用度やコンプライアンス意識を測る指標と見なされるからです。

滞納があれば、資金繰りが厳しい状況にあることや、経営管理がずさんであることの証左と捉えられかねません。

多くの場合、融資申し込み時には納税証明書の提出が求められ、滞納があると審査のテーブルにすら乗らないこともあります。

ただし、もし過去に滞納があったとしても、現在は解消されており、その理由と再発防止策をきちんと説明できれば、その事情を汲んでもらえる可能性はあります。

銀行との良好な関係を築く

融資をスムーズに受けるためには、日頃から銀行と良好な関係を築いておくことも有効なポイントです。

特定の銀行をメインバンクとして定め、預金の入出金や売上金の入金、給与振込などを集中させることで、取引実績を積み重ねることができます。

また、定期的に銀行の担当者とコミュニケーションを取り、試算表を提出して経営状況を報告したり、事業の近況を共有したりするなど、自社の状況を理解してもらう努力も大切です。

こうした日頃からの付き合いを通じて信頼関係が構築されていれば、いざ融資が必要になった際に相談しやすくなり、銀行側も企業の状況を把握しているため、審査プロセスが円滑に進む可能性があります。

また、銀行から補助金や助成金の情報、あるいは経営に役立つアドバイスなどを得られる機会も増えるかもしれません。

信頼関係は一朝一夕に築けるものではありません。長期的な視点に立ち、誠実な対応を心がけましょう。

銀行融資が受けられなかった場合、「ノンバンク融資」なら借入できる可能性も

銀行融資の審査は厳しいため、融資を断られてしまう法人経営者の方も珍しくありません。

しかし、もしそのような場合でも、「ノンバンク」を利用する方法があります。

ノンバンクとは、預金の受け入れを行わず、融資業務を専門とする金融機関のことです。

消費者金融や信販会社、事業者金融などがこれにあたり、銀行とは異なる独自の基準で審査を行うのが特徴です。

ノンバンクは、銀行融資の審査に時間がかかるケースや、赤字決算、設立間もないといった理由で銀行では融資が難しい企業に対しても、異なる角度から返済能力や事業の将来性を評価します。

特に、不動産などの担保価値を重視する傾向があるため、担保を提供できる場合には融資の可能性が広がります。

中でも、不動産を所有されている法人であれば、不動産担保ローンを専門とするノンバンクの活用が有効な手段となり得ます。

私たち大手町フィナンシャルは、法人・個人事業主のお客さまを対象に、不動産担保ローンを提供しているノンバンクです。

不動産の価値を適正に評価し、銀行の審査基準では融資が難しいと判断された場合でも、事業資金の調達を実現できる可能性があります。

運転資金、つなぎ資金、設備投資、納税資金など、幅広い資金使途に対応しており、最短即日でのご融資も可能です。

銀行融資の条件でお悩みの法人経営者の方は、大手町フィナンシャルの不動産担保ローンをご検討いただくことで、必要な事業資金の確保につながるかもしれません。


ノンバンク融資につきましては、こちらの記事もあわせてご参照ください▼
ノンバンクから法人融資を受ける際の3つの審査ポイントとは?

まとめ

法人向け銀行融資の種類、手続きの流れ、そして審査通過のポイントについて解説しました。

銀行融資は、法人にとって重要な資金調達手段の一つですが、審査は必ず伴います。

健全な財務状況、説得力のある事業計画、そして銀行との良好な関係性が借入の可否を左右します。

しかし、銀行の審査基準に満たない場合や、より迅速な資金調達が必要な場面もあるでしょう。

そのような場合に有効な選択肢となるのが、お持ちの不動産を活用する「不動産担保ローン」です。

銀行とは異なる審査基準による、柔軟かつスピーディーな対応が期待できます。

私たち大手町フィナンシャルは、法人・個人事業主様向けの不動産担保ローン専門会社です。

銀行融資が難しいケースでも、不動産の価値を最大限評価し、最短即日でのご融資にも対応いたします。

資金調達でお困りの際は、ぜひ一度、大手町フィナンシャルにご相談ください。査定・ご相談は無料です。

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