不動産担保ローン一括返済のメリット・デメリットと注意点

不動産担保ローン一括返済のメリット・デメリットと注意点

まとまった資金が用意できたとき、不動産担保ローンの一括返済(繰り上げ返済)を検討するかもしれません。

一括返済には将来の利息負担を減らせる大きなメリットがありますが、違約金の発生や手元資金の減少といったデメリット・注意点も存在します。

この記事では、不動産担保ローンの一括返済について、メリット・デメリット、手続きの流れ、実行前に確認すべきことを分かりやすく解説します。

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目次

不動産担保ローンの一括返済(繰り上げ返済)とは?

不動産担保ローンにおける一括返済とは、どのような仕組みでしょうか。

混同しやすい「期限一括返済」や「一部繰り上げ返済」との違い、一括返済が検討される主なケースを説明します。

一括返済の仕組み(残債を一度に完済すること)

一括返済(全額繰り上げ返済)とは、ローンの残高(元金)の全額と経過利息を、返済期間の途中で一度に支払って完済する返済方法です。

毎月の返済とは別に、まとまった資金を投入することで、契約より早く借入を終えられます。

「一括返済」と「期限一括返済(バルーン返済)」の違い

「一括返済」と「期限一括返済(バルーン返済)」は、異なるものです。

  • 一括返済(全額繰り上げ返済):契約者が任意のタイミングで、ローン残高の全額を前倒しで完済することです。
  • 期限一括返済(バルーン返済):契約時にあらかじめ、最終返済日(期限)に元金の大部分または全額を一括で返済すると定めておく返済方法です。

期限一括返済は、契約で決められた返済方法の一つです。

一部繰り上げ返済との違い

繰り上げ返済には、「一括返済(全額)」のほかに「一部繰り上げ返済」もあります。

  • 一括返済(全額):ローン残高の全額を返済し、完済します。
  • 一部繰り上げ返済:ローン残高の一部を返済します(ローン契約は継続)。

一部繰り上げ返済は、返済した金額がすべて元金の返済に充てられるため、将来の利息を軽減する効果があります。

一括返済が検討される主なタイミング・ケース

不動産担保ローンの一括返済が検討される主なタイミングは、以下の通りです。

  • まとまった臨時収入があった時:退職金、相続、資産の売却などで、ローン残高を上回る資金が手に入ったケース。
  • 担保不動産を売却する時:ローンが残っている不動産を売却する場合、売却代金でローンを一括返済し、抵当権を抹消する必要があります。
  • 金利の低い他のローンに借り換える時:今より有利な条件のローンに借り換える際、既存のローンは新しい借入先からの融資で一括返済されます。

不動産担保ローンを一括返済する3つのメリット

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不動産担保ローンを一括返済することには、主に以下のメリットがあります。

  1. 総返済額(将来の利息負担)を大幅に減らせる
  2. 担保不動産を自由に活用・売却できるようになる
  3. 月々の返済負担や精神的ストレスから解放される

メリット①:総返済額(将来の利息負担)を大幅に減らせる

最大のメリットは、将来支払うはずだった利息の負担を大幅に軽減できることです。

一括返済で支払った金額は元金の返済に充てられ、その元金にかかるはずだった将来の利息が不要になるため、総返済額を大きく減らせます。

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メリット②:担保不動産を自由に活用・売却できるようになる

不動産担保ローンを利用すると、対象の不動産に金融機関の「抵当権」が設定されます。

抵当権が設定されたままでは、不動産を自由に売却したり、新たな担保にしたりすることが制限されます。

一括返済でローンを完済すれば、この抵当権を抹消する手続きが可能になります

抵当権が抹消されれば、不動産を所有者の自由な意思で売却、贈与、または新たな担保として活用できるようになります。

メリット③:月々の返済負担や精神的ストレスから解放される

ローンを完済すれば、毎月の返済がなくなります。

月々の返済負担がなくなることで家計に余裕が生まれ、その資金を他の用途に充てることが可能になります。

また、「借入がある」という精神的なストレスから解放される点も大きなメリットです。

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不動産担保ローン一括返済の4つのデメリットと注意点

虫眼鏡と注意マークと黄色バック

不動産担保ローンの一括返済には、以下のようなデメリット・注意点があります。

  1. 違約金や手数料(繰上返済手数料)が発生する場合がある
  2. 手元の自己資金が大幅に減少し、資金繰りが悪化するリスク
  3. 団信(団体信用生命保険)が適用されなくなる
  4. 一括返済後の新たな融資審査に影響する可能性

デメリット①:違約金や手数料(繰上返済手数料)が発生する場合がある

金融機関や契約内容によっては、一括返済の際に「違約金」や「繰上返済手数料」が発生する場合があります。

特に、ノンバンク系の金融機関や、契約から間もない場合などに設定されているケースが多い傾向です。

金額は金融機関によりますが、残高の数%(例:2~5%)と高額になる可能性もあります。

利息の軽減額より手数料の負担が大きくならないか、事前に契約書や金融機関への問合せで確認が必須です。

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デメリット②:手元の自己資金が大幅に減少し、資金繰りが悪化するリスク

一括返済のためにまとまったお金を支払うと、当然ながら手元の自己資金(キャッシュ)が大幅に減少します。

病気やケガ、失業などで急にお金が必要になった際に対応できなくなるリスクが高まります。

一括返済を実行する際は、万が一に備える「生活防衛資金」などを十分に残したうえで、余裕のある資金計画を立てることが肝心です。

万が一、一括返済後に急な出費(事業資金や生活費など)が必要になった場合でも、大手町フィナンシャルのように原則24時間以内の審査回答、最短翌日融資が可能な金融機関を知っておくと安心です。

一度完済した不動産を再度担保に、迅速な資金調達が可能なケースもあります。

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デメリット③:団信(団体信用生命保険)が適用されなくなる

住宅ローンでは加入が多い団体信用生命保険(団信)ですが、不動産担保ローン(フリーローンやビジネスローンなど)は、原則として団信に加入できません(一部の銀行商品を除く)。

もし加入している場合、一括返済でローンが完済となると、団信も同時に解約(失効)となります。

デメリット④:一括返済後の新たな融資審査に影響する可能性

一括返済という行為自体が、信用情報にマイナス(事故情報)として登録されることはありません。

しかし、一括返済によって手元の自己資金が極端に減少した場合、直後に新たな融資を申し込むと、審査に影響する可能性があります。

金融機関は、返済能力だけでなく保有資産(預貯金など)のバランスも見るためです。

不動産担保ローン一括返済の手続き・流れ

”対処法”の文字と文房具

不動産担保ローンの一括返済を決めた場合、一般的な手続きの流れは以下の通りです。

  1. 金融機関(借入先)への連絡と意思表示
  2. 申請書類の準備と提出
  3. 一括返済資金の入金・返済実行
  4. 抵当権抹消手続き
  5. 抹消後の登記簿謄本(登記事項証明書)の確認

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Step1.金融機関(借入先)への連絡と意思表示

まず、借入先の金融機関に連絡し、「不動産担保ローンを一括返済したい」と伝えます。

このとき、一括返済を希望する日(返済実行日)も伝えるとスムーズです。

Step2.申請書類の準備と提出

金融機関から、一括返済に必要な申請書類(繰上返済申込書など)が送られてきます。

金融機関から案内される返済総額(元金、利息、手数料・違約金の合計)を確認し、必要事項を記入して提出(返送)します。

Step3.一括返済資金の入金・返済実行

指定された返済実行日に、案内された返済総額を金融機関の指定口座に振込みます。

金額に間違いがないよう、正確に確認してください。

入金が確認されれば、ローンは完済となります。

Step4.抵当権抹消手続き

ローンが完済すると、金融機関から抵当権を抹消するために必要な書類一式が送られてきます。

これらの書類を使って、必ずご自身(または司法書士に依頼)で、法務局にて抵当権抹消登記の手続きを行う必要があります

金融機関が自動的に抹消してくれるわけではない点に注意してください。

※大手町フィナンシャルでは、こうした複雑な法的手続きについても、国家資格保有者などの専門家がサポートする体制を整えています。

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Step5.抹消後の登記簿謄本(登記事項証明書)の確認

抵当権抹消手続きが完了したら、法務局で対象不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得します。

登記簿の「乙区」に記載されていた抵当権設定の登記が、下線などで抹消されていることを確認し、すべての手続きが完了です。

一括返済の実行前に確認すべき3つの重要事項

契約書を前に注意点を確認する男女

不動産担保ローンの一括返済で後悔しないために、実行前に以下の3つの重要事項を必ず確認してください。

  1. 違約金・手数料の金額と支払い条件
  2. 一括返済後の手元資金シミュレーション(生活防衛資金は残るか)
  3. 抵当権抹消手続きの方法と費用(司法書士報酬・登録免許税)

重要事項①:違約金・手数料の金額と支払い条件

最も確認すべきは、違約金や繰上返済手数料の有無と金額です。

「利息の軽減額」と「支払う手数料・違約金の額」を必ず比較しましょう。

手数料を支払ってでも一括返済した方が得になるのか、冷静に判断するポイントです。

重要事項②:一括返済後の手元資金シミュレーション(生活防衛資金は残るか)

手元の現金をすべて返済に充てるのは危険です。

一括返済を実行した後、手元に十分な資金(生活防衛資金や事業の予備資金)が残るかどうか、必ずシミュレーションしてください。

最低でも生活費の3ヶ月~半年分程度の現金は確保しておくことが推奨されます。

余裕がなくなるなら、一括返済ではなく「一部繰り上げ返済」にとどめる判断も必要です。

重要事項③:抵当権抹消手続きの方法と費用(司法書士報酬・登録免許税)

一括返済が完了した後、抵当権の抹消手続きには別途費用がかかります。

  1. 登録免許税:不動産1筆あたり1,000円。
  2. 司法書士報酬:抹消手続きを司法書士に依頼する場合の報酬(1万円~数万円程度が相場)。

これらの費用も一括返済に必要なコストとして、あらかじめ予算に含んでおきましょう。

【補足】期限一括返済(バルーン返済)とは?

「期限一括返済(バルーン返済)」について、補足して解説します。

これは、契約者が任意で行う「繰り上げ返済」とは異なる返済方法です。

期限一括返済の仕組みと元利均等返済との違い

期限一括返済(バルーン返済)は、ローン契約時に、最終返済回に借入元金(またはその大部分)を一括で返済することを取り決める返済方式です。

毎月一定額(元金+利息)を返済する「元利均等返済」とは、返済計画が大きく異なります。

メリット:毎月の返済額を利息のみに抑えられる

期限一括返済のメリットは、最終回までの月々の返済負担を利息のみ(または少額)に抑えられることです。

これにより、毎月のキャッシュフロー(手元資金)に余裕を持たせられます。

デメリット:最終回の返済負担が非常に大きい

一方、デメリットは、最終回の返済負担が非常に高額になることです。

元金がほとんど減っていない状態で最終回を迎えるため、多額の資金を一括で用意しなければなりません。

返済不能に陥るリスクが非常に高い返済方法であり、主に不動産事業者や法人向けの融資で利用されるケースがあります。

※こうしたバルーン返済の返済資金(いわゆる「返し(かえし)資金」)の調達や、事業用のつなぎ融資、バックファイナンスなど、法人・個人事業主特有の資金ニーズに対しても、大手町フィナンシャルは柔軟に対応しています。

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まとめ

不動産担保ローンの一括返済は、総返済額(利息負担)を大幅に軽減できる点が最大のメリットです。

一方で、違約金・手数料の発生や、手元の自己資金が大幅に減少するリスクも伴います。

一括返済を実行する前には、必ず契約内容を確認し、手数料と利息軽減額を比較すること、そして返済後の手元資金で生活や事業に支障が出ないか、入念にシミュレーションすることが肝心です。

ご自身の状況で一括返済すべきか迷う場合や、ローンの見直しについて専門家の意見が聞きたい場合は、お気軽にご相談ください。

大手町フィナンシャルでは、共有持分や再建築不可物件といった一般的な金融機関では評価が難しい不動産や、赤字決算・信用情報に不安がある方の状況も考慮し、不動産の価値を最大限評価する独自の審査基準で、お客さまに最適なプランをご提案します。

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不動産担保ローンの一括返済に関してよくある質問

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不動産担保ローンの一括返済に関してよくある質問と、その回答をご紹介します。

Q1.一括返済をすると、信用情報に影響はありますか?

A.適切に完済すれば、信用情報にマイナスの影響はありません。

一括返済は、契約が終了した「完済」の情報として登録されます。

これは延滞などの「事故情報」とは異なり、マイナスの評価にはなりません。

Q2.違約金(手数料)は必ずかかるものですか?相場は?

A.金融機関や契約内容によります。無料の場合もあれば、残高の数%かかる場合もあります。

違約金や手数料の有無・金額は、金融機関や商品によって様々です。

「相場」は一概に言えません。

必ずご自身の契約書を確認するか、借入先の金融機関に直接問い合わせてください。

Q3.一括返済と一部繰り上げ返済はどちらが得ですか?

A.利息の軽減効果だけを見れば「一括返済」ですが、手元資金のバランスが重要です。

利息を減らす効果は、元金を多く早く返す「一括返済」が最大です。

しかし、手元の現金をすべて失って生活や事業が不安定になっては意味がありません。

利息軽減額と、手元に現金を残す安心感を天秤にかけ、無理のない範囲で判断することがポイントです。

例えば、一括返済できる資金があっても、あえて一部を手元に残し、低金利(年率3.2%~)で総量規制対象外のローンを利用して事業資金や他の投資に回すという選択肢もあります。

大手町フィナンシャルのように資金使途が自由な不動産担保ローンであれば、こうした柔軟な資金計画も可能です。

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Q4.抵当権の抹消手続きは自分でもできますか?

A.はい、ご自身でも可能です。ただし、司法書士への依頼が一般的です。

必要な書類を揃え、法務局(登記所)に申請すれば、ご自身でも手続きできます。

ただし、書類準備や手続きが煩雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。

その場合、登録免許税(実費)のほかに、司法書士報酬(手数料)が必要となります。

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