「共有されている持分が、競売にかけられました」――ある日突然、裁判所の執行官の訪問などによってそんな事実を知ったら、誰でも冷静ではいられないでしょう。
「この家に住み続けられるの?」「知らない人が共有者になる?」など、次々と不安が押し寄せてくるはずです。
しかし、必要以上に焦ることはありません。
共有持分の競売には、然るべき対処法が存在します。
この記事では、共有持分が競売にかけられる原因から、ご自身に及ぶリスク、そしてすぐに実践できる具体的な対処法まで、順を追って詳しく解説します。
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目次
他の共有者の持分が競売にかけられてしまう主なケース
他の共有者の持分が競売にかけられてしまう代表的なケースとしては、以下のものがあります。
- 共有持分を担保にした借入金の滞納
- 住宅ローンの滞納
- 税金や管理費、その他の債務の滞納
ケース①:共有持分を担保にした借入金の滞納
共有者自身が自分の共有持分を担保にお金を借り、その返済が滞ってしまうケースです。
債権者は担保権を実行し、裁判所に競売を申し立てて共有持分を現金化し、貸したお金を回収しようとします。
ケース②:住宅ローンの滞納
夫婦や親子で共有名義の不動産を購入し、住宅ローンの返済が滞ってしまうケースです。
多くの場合、不動産全体に抵当権が設定されているため、あなたの持分に関係なく、物件全体が競売にかけられてしまいます。
ケース③:税金や管理費、その他の債務の滞納
所得税などの税金、マンションの管理費、あるいはクレジットカードの支払いが滞った場合でも、債権者は訴訟などを経て対象の共有持分のみを差し押さえ、競売を申し立てることができます。
共有者の持分が競売にかけられることで自分に及ぶ、4つのリスク
他の共有者の持分が競売にかけられることで自分に及ぶリスクとしては、以下の4つが代表的です。
- 第三者と共有関係になり、意思決定が困難になる
- 自宅に住んでいる場合、家賃相当額の支払いを請求される
- 落札者から共有持分の売却や買取を要求される
- 最悪の場合、共有物分割請求訴訟に発展する
リスク①:第三者との共有関係になり、意思決定が困難になる
競売で他の共有者の持分を落札するのは、多くの場合、不動産投資家や専門の買取業者です。
ある日突然、見ず知らずの第三者と不動産を共有することになり、売却やリフォームといった重要な決定の際に意見が対立し、何も決められなくなる恐れがあります。
リスク②:自宅に住んでいる場合、家賃相当額の支払いを請求される
もし、あなたが競売の対象となった不動産に住んでいる場合、新たな共有者(落札者)から、持分割合に応じた家賃相当額の支払いを求められる可能性があります。
これは法的に「不当利得」とみなされるためです。
たとえ自分の持分があったとしても、他人の資産(落札者の持分)を無償で使用することはできず、その対価を支払う義務が生じます。
例えば、家賃相場が月20万円の物件で、2分の1の持分を第三者が落札した場合、あなたがその家に住み続ける限り、毎月10万円を落札者へ支払うよう請求される可能性があります。
リスク③:落札者から共有持分の売却や買取を要求される
このリスクも極めて現実的です。
特に落札者が不動産業者などの場合、その目的は利益の追求であり、不安定な共有状態を維持することは望みません。
そのため、落札者は利益を確定させるために、以下のような要求をしてきます。
- あなたの持分を買い取る提案
- 落札者自身の持分を買い取るよう求める要求
こうした交渉は、経験豊富なプロを相手にすることになり、精神的なプレッシャーは計り知れません。
リスク④:最悪の場合、共有物分割請求訴訟に発展する
落札者との交渉がまとまらない場合、彼らは最終手段として裁判所に「共有物分割請求訴訟」を提起してくる可能性が非常に高いです。
これは、共有関係の解消を裁判所に求める法的な手続きです。
この訴訟では、裁判所の判断で不動産全体が競売(換価分割)にかけられてしまうことが多く、結果として住み慣れた家を失い、市場価格よりも安い価格で強制的に売却されてしまうという最悪の事態を迎えることになります。
他の共有者の持分が競売にかけられた際の対処法5選
他の共有者の持分が競売にかけられた際の対処法は、主に以下の通りです。
- 債権者と交渉し、競売の取り下げを依頼する
- 自ら競売に参加し、共有持分を落札する
- 落札者と交渉し、持分を買い取る・または自分の持分を売却する
- 自分の共有持分を専門の買取業者へ売却する
- 仲介会社を利用し、自分の共有持分を第三者へ売却する
対処法①:債権者と交渉し、競売の取り下げを依頼する
競売を申し立てた債権者と直接交渉する方法です。
もしあなたが債務者に代わって返済(代位弁済)できるのであれば、債権者は競売を取り下げてくれる可能性が高いでしょう。
ただし、まとまった資金が必要になり、立て替えたお金を後で回収できる保証はない点に注意が必要です。
対処法②:自ら競売に参加し、共有持分を落札する
あなた自身が競売に参加して、他の共有者の持分を落札する方法です。
無事に落札できれば、第三者が共有関係に入ってくるリスクを完全に排除できます。
さらに、不動産の所有権を自分一人に集約できるため、将来的な売却や活用も自由に行えるようになります。
落札資金の課題は「不動産担保ローン」で解決できる可能性がある
競売に参加する上で最大の課題となるのが、資金の準備です。
競売では、裁判所が定める期限内に代金を一括で納付する必要があり、一般的な住宅ローンは利用できません。
その「資金の壁」を乗り越えるための専門的な解決策が、私たち大手町フィナンシャルがご提供する「不動産担保ローン」です。
- 迅速な審査プロセスで、裁判所の短い納付期限にも対応します。
- お客様が既にお持ちの共有持分を担保価値に含めてご相談いただけます。
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資金調達のプロとして、お客様が大切な権利を守り、目的を達成するためのお手伝いをします。
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対処法③:落札者と交渉し、持分を買い取る・または自分の持分を売却する
万が一、第三者が持分を落札してしまった場合でも、共有関係を解消するための交渉を行う道が残されています。
主な選択肢は以下の2つです。
- 相手(落札者)の持分を買い取る
資金的な余裕があれば、落札者から持分を買い取ることで、不動産の所有権を自分一人に集約(単独所有に)できます。
これにより、将来の売却や活用に関する全ての意思決定を自分で行えるようになります。
ただし、相手は利益を得ることを目的としているため、落札価格に利益を上乗せした金額での買取交渉となることが一般的です。 - 自分の持分を売却する
今後その不動産を利用する予定がない、あるいは買取資金の準備が難しい場合は、ご自身の持分を落札者に売却し、共有関係から完全に離脱するのも有効な手段です。
これにより、まとまった現金を得て、将来の管理や交渉のわずらわしさから解放されます。
対処法④:自分の共有持分を専門の買取業者へ売却する
落札者との交渉がうまくいかない場合や、そもそも第三者と関わりたくない場合は、ご自身の共有持分を専門の買取業者へ売却する方法もあります。
共有持分は一般市場では売却が困難ですが、専門業者ならスムーズに買い取ってくれます。
売却価格は市場価格より低くなりますが、スピーディーに現金化でき、複雑な共有関係からいち早く抜け出せる点がメリットです。
対処法⑤:仲介会社を利用し、自分の共有持分を第三者へ売却する
一般的な不動産仲介会社を通じて、ご自身の持分を購入してくれる第三者を探す方法もあります。
この方法のメリットは、買取業者に売却するよりも高い価格で売れる可能性がある点です。
しかし、共有持分だけを購入したいという買い手は非常に少ないため、売却までに時間がかかる可能性があります。
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まだ間に合う?競売が開始される前にできること
もし、競売が始まる前に共有者の滞納を知った場合、以下のようなアクションが検討可能です。
- 共有者全員で協力し、不動産全体を任意売却する
- 自分が共有者の債務を立て替えて返済する(肩代わり)
- 共有者全員で協力し、金融機関に任意売却の相談をする
なお、競売は売却価格が市場価格より大幅に安くなるため、回避するに越したことはありません。
競売前の対策①:共有者全員で協力し、不動産全体を任意売却する
最もお勧めしたいのが、共有者全員で協力して不動産を一般市場で売却する「任意売却」です。
任意売却なら、競売よりも高い市場価格に近い価格で売却できる可能性が高まります。
売却代金で債務を完済し、残ったお金を持分割合に応じて分配すれば、全員にとって最も経済的なメリットが大きい解決策となり得ます。
競売前の対策②:自分が共有者の債務を立て替えて返済する(肩代わり)
共有不動産を手放したくない場合、あなたが他の共有者の債務を立て替えて返済し、競売の申し立て自体を防ぐ方法もあります。
ただし、この方法は、立て替えたお金を後で回収できる保証はないというリスクを伴います。
競売前の対策③:【住宅ローン滞納の場合】金融機関に「任意売却の同意」を得る
住宅ローンの滞納が競売の原因である場合に特に有効な方法です。
まずは債務者である共有者と一緒に、借り入れ先の金融機関(債権者)へ相談に行き、「競売ではなく任意売却で解決したい」という意思を伝え、その同意(許可)を得ることが全てのスタートとなります。
金融機関としても、競売より任意売却の方が多くの債権を回収できるため、売却活動に協力してくれるケースがほとんどです。
金融機関の同意が得られた後に、不動産会社に依頼して売却活動を進めていくのが一般的な流れですが、共有者全員の協力が必須になります。
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共有持分が競売になる際の流れ
他の共有者の持分が競売になる際の流れは、以下の通りです。
- 裁判所からの「競売開始決定」通知※債務者である共有者にのみ通知が届く。
- 裁判所の執行官による「現況調査」
- 物件情報と「売却基準価額」の決定・公告
- 入札期間と開札
- 「売却許可決定」と代金納付
- 所有権移転登記と債権者への配当
Step1. 裁判所からの「競売開始決定」通知
債権者の申し立てが受理されると、裁判所は競売の開始を決定し、債務者である共有者へ「競売開始決定通知書」を送付します。
同時に、不動産の登記簿には「差押」の登記がされます。
原則として、他の共有者であるあなたには裁判所から直接の通知は届きません。
Step2. 裁判所の執行官による「現況調査」
裁判所の執行官が現地を訪れ、物件の状況を調査します。
この調査は拒否できません。
Step3. 物件情報と「売却基準価額」の決定・公告
現況調査などをもとに、裁判所が売却の基準となる価格「売却基準価額」を決定します。
その後、物件情報が裁判所やインターネットで公開されます。
Step4. 入札期間と開札
約1週間の入札期間が設けられ、購入希望者が入札します。
期間終了後、開札が行われ、最も高い価格を提示した人が落札候補者となります。
Step5. 「売却許可決定」と代金納付
裁判所が落札候補者に問題がないか審査し、「売却許可決定」を出します。
落札者は期限までに代金全額を裁判所に納付します。
Step6. 所有権移転登記と債権者への配当
代金が納付された時点で、所有権は落札者に移転します。
納付された代金は、債権者へ分配されます。
自分の持分売却や相手の持分買取を検討する際の価格相場
共有持分の売買を検討する際、その「価格」は最も気になる点の一つでしょう。
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共有持分の価格は市場価格より低くなる傾向
まず理解しておくべきなのは、共有持分の売買価格は、不動産全体の市場価格に持分割合を掛けた金額よりも低くなるのが一般的という点です。
単独で売却や活用ができない、他の共有者とのトラブルリスクがある、といった制約から、買い手が見つかりにくいためです。
その結果、売買価格も低くなる傾向にあります。
適正価格で売却・買取するためのポイント
共有持分を有利な条件で取引するためのポイントは、以下の通りです。
- 不動産全体の適正な市場価格を把握する
複数の不動産会社に査定を依頼し、客観的な市場価格を知りましょう。 - 共有持分専門の業者に相談する
共有持分の売買は専門性が高いため、取り扱いに慣れた専門業者に相談する必要があります。 - 交渉は専門家(弁護士など)に依頼する
個人で交渉に臨むと不利な条件を飲まされる恐れがあります。
不動産トラブルに詳しい弁護士に依頼しましょう。
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まとめ
この記事では、他の共有者の持分が競売にかけられた際の影響と対処法を解説しました。
ある日突然、見知らぬ第三者と不動産を共有することになるリスクは、決して他人事ではありません。
しかし、競売が開始された事実を知った段階でも、あるいはその前兆を察知した段階でも、打つ手は残されています。
いずれの対処法を選択するにしても、一人で悩まず、できるだけ早く専門家に相談することが解決への一番の近道です。
特に、競売参加や相手持分の買取にはまとまった資金が必要となります。
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共有持分の競売に関してよくある質問
共有持分の競売に関してよくある質問と、その回答をいくつかご紹介します。
Q1. 共有名義の不動産トラブルは弁護士に相談すべきですか?
A. はい、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。
共有持分の競売は、法的な手続きが複雑に絡み合います。
債権者や落札者との交渉、訴訟への対応など、法律の専門知識がなければ不利な状況に陥りやすいため、不動産問題に強い弁護士に相談しましょう。
Q2. 競売で持分を落札するための資金は不動産担保ローンで調達できますか?
A. はい、不動産担保ローンで調達できる可能性があります。
競売の落札代金は一括納付が必要で、住宅ローンは利用できません。
しかし、不動産担保ローンは資金使途が比較的自由なため、落札資金として利用できる場合があります。
審査の柔軟性や、融資までのスピードを強みとする金融機関を選ぶと良いでしょう。
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Q3. 共有持分の買取代金を分割払いにすることは可能ですか?
A. 原則として一括払いが基本ですが、交渉次第では可能なケースもあります。
当事者間の合意があれば分割払いも可能ですが、相手にとってはリスクがあるため交渉は簡単ではありません。
金融機関から不動産担保ローンなどで資金を調達し、相手には一括で支払い、その後金融機関に分割で返済していく方法が現実的です。
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Q4. 競売の事実を知った時点から相談しても間に合いますか?
A. はい、間に合います。諦めずにすぐ行動してください。
裁判所の執行官の訪問などで競売の事実を知った時点では、まだ実際に入札が始まるまで数ヶ月の猶予があることがほとんどです。
この期間内に、債権者と交渉したり、資金準備をしたりと、打てる手は複数残されています。
「もうどうにもならない」と諦めず、すぐに専門家へ相談することが重要です。
