不動産担保ローンを検討する際に重要な「担保評価額」。
この金額が借入額の目安となりますが、どのように計算され、融資額にどう影響するのか、仕組みは複雑です。
本記事では、不動産の担保評価額の基本から、金融機関の具体的な計算方法、融資額が決まる仕組みまでをわかりやすく解説します。
評価額を高くするためのポイントや、評価額が低かった場合の対処法も紹介しますので、不動産を活用した資金調達を考えている方はぜひご一読ください。
目次
不動産の担保評価額とは?
まず、担保評価額の基本的な意味と、なぜ金融機関がこの数値を重視するのかについて見ていきましょう。
不動産担保ローンにおける「担保」の価値を示す指標
不動産の担保評価額とは、不動産担保ローンで担保にする不動産の価値を、金融機関が算出した金額のことです。
金融機関は、この評価額を基準に「万が一返済が滞っても融資金を回収できるか」を判断します。
そのため、担保評価額は融資の可否や借入できる上限額を決める、非常に重要な指標となります。
なぜ金融機関は担保評価額を重視するのか
金融機関が担保評価額を重視するのは、貸し倒れのリスクを避けるためです。
もし契約者の返済が完全に止まってしまった場合、金融機関は担保の不動産を売却(競売など)して、融資金を回収します。
このとき、不動産の価値が低いと融資金を全額回収できず、損失を被ってしまいます。
このような事態を防ぐため、金融機関は事前に不動産の価値を慎重に評価し、安全に回収できる範囲で融資を行うのです。
不動産の担保評価額はどう決まる?金融機関の主な算出方法
担保評価額は「土地」と「建物」で別々に評価され、複数の方法を組み合わせて総合的に算出されます。
ここでは、金融機関が用いる主な算出方法を紹介します。
「土地」の担保評価額を算出する4つの基準
土地の評価には、国や自治体が公表する以下の4種類の価格が基準として使われます。
- 路線価=国税庁が定める道路ごとの土地単価
- 公示地価・基準地価=国や都道府県が示す土地の正常な価格
- 固定資産税評価額=市町村が決定する固定資産税の基準額
- 実勢価格=実際に市場で取引された価格
基準①:路線価=国税庁が定める道路ごとの土地単価
路線価は、相続税や贈与税を計算するために国税庁が定める土地単価です。
実際の市場価格の8割程度が目安とされ、多くの金融機関がこの路線価を基準に評価額を算出します。
計算式▼ |
路線価 × 土地面積(㎡) |
基準②:公示地価・基準地価=国や都道府県が示す土地の正常な価格
公示地価(国)と基準地価(都道府県)は、土地取引の目安となる公的な価格です。
不動産鑑定士の評価に基づくため信頼性が高く、実勢価格に近いため、これを重視する金融機関も少なくありません。
基準③:固定資産税評価額=市町村が決定する固定資産税の基準額
固定資産税評価額は、固定資産税などを計算するための基準となる価格です。
公示地価の7割程度が目安で、毎年送られてくる納税通知書で確認できます。
これも担保評価額を算出する際の重要な基準の一つです。
基準④:実勢価格=実際に市場で取引された価格
実勢価格は、実際に市場で売買された価格(時価)です。
最も現実の価値に近いですが、個別の取引事情に左右されるため、金融機関は他の公的価格と合わせて総合的に判断します。
「建物」の担保評価額を算出する3つの方法
建物は年数とともに価値が下がる(経年劣化)ため、土地とは異なる以下の方法で担保評価額を算出します。
- 原価法:再建築費用から価値を算出する方法
- 取引事例比較法=近隣の類似物件の取引価格を参考にする方法
- 収益還元法=賃貸物件などの収益性から価値を算出する方法
方法①:原価法:再建築費用から価値を算出する方法
原価法は、「今、同じ建物を新しく建てたらいくらかかるか(再調達原価)」から、築年数に応じた価値の減少分を引いて評価額を出す方法です。
主に戸建ての評価で使われます。
法定耐用年数を超えると、建物の評価額がゼロと見なされることもあります。
計算式▼ |
再調達原価 × 延床面積 ×(法定耐用年数 - 築年数)/ 法定耐用年数 |
方法②:取引事例比較法=近隣の類似物件の取引価格を参考にする方法
取引事例比較法は、評価したい物件と条件が似ている周辺物件の取引価格を参考に、評価額を算出する方法です。
立地や広さ、築年数などを比較して価格を調整するため、主にマンションの評価に用いられます。
方法③:収益還元法=賃貸物件などの収益性から価値を算出する方法
収益還元法は、その不動産が将来生み出すであろう収益(家賃収入など)を基に価値を評価する方法です。
アパートや賃貸マンション、オフィスビルといった投資用不動産の評価に使われます。
自分で正確な担保評価額を計算するのは難しい?
路線価や固定資産税評価額を調べれば、大まかな評価額の目安は自分でも計算できます。
しかし、金融機関は公的データに加え、土地の形状や周辺環境、将来性といった専門的な視点から総合的に価値を判断します。
そのため、個人が算出した金額とプロの評価額には差が出ることが一般的です。
正確な金額を知るには、金融機関や不動産会社に査定を依頼するのが確実です。
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関連記事:不動産担保ローンはいくら借りられる?借入可能額の目安を分かりやすく解説
担保評価額=借入可能額ではない?「掛目」についても知っておこう
金融機関から提示された担保評価額が、そのまま借りられるわけではありません。
実際の融資額は、評価額に「掛目」という割合を掛けて決まります。
融資可能額を左右する「担保掛目(たんぽかけめ)」とは
担保掛目(掛目)とは、担保評価額に対して金融機関が設定する割合のことです。
実際に借りられる上限額は、以下の計算式で決まります。
計算式▼ |
担保評価額 × 担保掛目 |
掛目は金融機関や不動産の種類によって変わりますが、一般的に担保評価額の70%~80%程度です。
例えば、担保評価額が3,000万円で掛目が70%なら、融資上限額は2,100万円となります。
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担保評価額の満額を借りられない理由
担保評価額の満額を借りられないのは、金融機関が将来のリスクに備えるためです。
主な理由は以下の通りです。
- 不動産価格の変動リスク:将来、不動産の価値が下落する可能性に備えています。
- 競売による価格の下落:競売では市場価格より安くなることが多く、その下落分を考慮しています。
- 諸費用の発生:競売にかかる手続き費用などをあらかじめ見込んでいます。
関連記事:担保不動産競売とは?競売の流れや回避する方法を解説
担保評価額だけじゃない!融資額に影響するその他の審査基準
不動産担保ローンの審査では、担保評価額とあわせて以下の情報も重要視されます。
最終的な融資額は、これらの情報を総合的に見て判断されます。
- 申込者の返済能力(年収や事業状況)
- 信用情報(過去の返済履歴など)
- 他の借入状況(住宅ローンやカードローンなど)
その他の審査基準①:申込者の返済能力(年収や事業状況)
担保の価値が高くても、毎月の返済を続けられる安定した収入がなければ融資は受けられません。
個人の場合は年収や勤務先、法人の場合は事業の経営状況などが審査されます。
その他の審査基準②:信用情報(過去の返済履歴など)
信用情報とは、ローンやクレジットカードの利用履歴のことです。
過去に支払いの延滞などがあると、返済能力を疑問視され、審査に通りにくくなります。
その他の審査基準③:他の借入状況(住宅ローンやカードローンなど)
住宅ローンなど、他の借入金の残高も審査に影響します。
すべての借入金を合わせた返済額が、収入に対して無理のない範囲に収まっているかがチェックされます。
関連記事:不動産担保ローンの審査に通らないのはなぜ?通過するコツや落ちたときの対処法も紹介
自分の不動産の担保評価額の目安を知る方法
自分の不動産の担保評価額の目安を知る方法としては、主に以下の3種類があります。
- 公的なデータを活用して自分で調べる
- 不動産会社に査定を依頼する
- 金融機関の簡易査定を利用する
方法①:公的なデータを活用して自分で調べる
「路線価」や「固定資産税評価額」などはインターネットや役所で調べられます。
これらの価格に土地の面積を掛ければ、大まかな評価額を自分で計算できますが、あくまで参考値です。
方法②:不動産会社に査定を依頼する
不動産会社に無料の売却査定を依頼すれば、市場での価値(実勢価格)を知ることができます。
ただし、売却査定額は金融機関の担保評価額より高くなる傾向があるため、注意が必要です。
方法③:金融機関の簡易査定を利用する
融資を検討している金融機関の簡易査定(仮査定)を利用するのが最もおすすめです。
物件情報を入力するだけで、その金融機関の基準に基づいた借入可能額の目安がわかります。
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不動産の担保評価額をできるだけ高く評価してもらうためのポイント
不動産の担保評価額をできるだけ高く評価してもらうためには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 不動産の状態を良好に保つ
- 複数の金融機関で査定を依頼して比較する
- 不動産の価値を証明する資料を準備する
ポイント①:不動産の状態を良好に保つ
建物の見た目や状態は評価に直接影響します。
日頃から手入れや清掃を心がけ、良い状態を保ちましょう。
耐震補強や大規模リフォームを行っている場合は、それを証明する書類を準備すると評価アップに繋がることがあります。
ポイント②:複数の金融機関で査定を依頼して比較する
担保の評価基準は金融機関ごとに異なります。
一つの金融機関で評価が低くても、別の金融機関では高く評価されることも少なくありません。
複数の金融機関に査定を依頼し、条件を比較することが非常に重要です。
関連記事:不動産担保ローンは複数の申し込みもできる?メリットや注意点を解説
ポイント③:不動産の価値を証明する資料を準備する
物件の魅力をアピールできる資料があれば、査定時に提出しましょう。
購入時のパンフレットやリフォームの履歴、周辺の開発計画に関する資料などが有効です。
これにより、担当者に物件の価値を正しく理解してもらいやすくなります。
もし担保評価額が低かったら?融資を受けるための対処法
評価額が思ったより低く、希望額に届かない場合の対処法は以下の通りです。
- 共同担保として他の不動産も提供する
- 保証人を立てる
- 希望する融資額を見直す
対処法①:共同担保として他の不動産も提供する
もし他に不動産を持っていれば、複数の不動産をまとめて担保(共同担保)に入れることで、担保価値の総額を増やし、借入可能額を増額できる可能性があります。
対処法②:保証人を立てる
安定した収入がある方を連帯保証人に立てることで、金融機関からの信用が高まります。
これにより、担保評価額が少し足りなくても、審査に通過しやすくなることがあります。
関連記事:不動産担保ローンに連帯保証人は必要?役割や注意点を徹底解説
対処法③:希望する融資額を見直す
資金計画を再検討し、本当に必要な金額まで希望融資額を引き下げるのも一つの方法です。
借入額が減れば返済負担も軽くなるため、審査基準をクリアできる可能性が高まります。
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大手町フィナンシャルの不動産担保ローンで担保にできる不動産の種類
大手町フィナンシャルでは、銀行などでは評価されにくい以下のような不動産も、積極的に担保として評価します。
- 土地(更地、底地、借地権など)
- 建物(戸建て、マンション、ビル、工場など)
- ローン返済中の不動産
- 共有名義の不動産
- ご自身以外の家族が所有する不動産
種類①:土地(更地、底地、借地権など)
一般的な土地だけでなく、権利関係が複雑な底地や借地権もご相談ください。
専門知識を持つスタッフが価値を正しく評価します。
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種類②:建物(戸建て、マンション、ビル、工場など)
ご自宅から事業用のビル、工場まで幅広く対応します。
築年数が古い物件や地方の物件でもお気軽にご相談ください。
種類③:ローン返済中の不動産
住宅ローンが残っている不動産でも担保にできます。
残債務を考慮した上で評価額を算出し、二番抵当、三番抵当でのご融資も可能です。
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種類④:共有名義の不動産
複数人で所有している不動産も担保にできます。
ご自身の持分のみを担保にすることも可能です。
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種類⑤:ご自身以外の家族が所有する不動産
ご家族が所有する不動産を担保にすることもできます(不動産担保提供)。
所有者の同意があれば、お申し込みが可能です。
関連記事:家族名義の不動産でも不動産担保ローンは契約できる?
まとめ
不動産の担保評価額は、土地と建物の価値を複数の基準で評価し、金融機関ごとの「掛目」を掛けて融資可能額が算出されます。
また、融資審査では担保評価額だけでなく、申込者の返済能力や信用情報もあわせて判断されます。
もし銀行の審査で希望額に届かなかったり、融資を断られたりしても、諦める必要はありません。
大手町フィナンシャルでは、銀行とは異なる独自の審査基準で、お客様の不動産の価値を最大限に評価します。
共有名義や借地権、住宅ローン返済中の物件など、他社で断られやすい不動産でも豊富な融資実績があります。
年収や信用情報に不安がある方、スピーディーな資金調達が必要な方も、まずはお気軽にご相談ください。
不動産の担保評価額に関してよくある質問
不動産の担保評価額について、よく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 査定や相談に費用はかかりますか?
A.いいえ、原則として無料です。
大手町フィナンシャルでは、ご相談から査定、お見積りまで費用は一切かかりません。
ご契約いただくまでは費用が発生しませんので、お気軽にお問い合わせください。
Q2. 提示された担保評価額に納得できない場合はどうすればいいですか?
A.他の金融機関にも査定を依頼してみましょう。
不動産の評価基準は金融機関によって異なります。
一つの金融機関の評価額に納得できない場合は、別の金融機関に査定を依頼することをおすすめします。
異なる視点で評価され、より良い条件が提示される可能性があります。
Q3. 不動産の売却価格と担保評価額は同じ金額になりますか?
A.いいえ、一般的に異なります。
売却価格は市場での取引価格ですが、担保評価額は金融機関がリスクを考慮して算出する価格です。
そのため、一般的には「売却価格」の方が「担保評価額」よりも高くなる傾向があります。